膠原病・リウマチ一人抄読会

膠原病内科の勉強・アウトプットのため、読んだ論文等を投稿していく予定です。間違いがあれば遠慮なくご指摘ください。個別症例相談には応じられませんのでご了承ください。

全身性強皮症の心病変

全身性強皮症(SSc)の臓器病変としては、肺(間質性肺炎)、腸(SIBO: 小腸内細菌増殖症)が代表例。ただ心病変もそこそこの頻度で見られる。ただ心病変は案外多い割には注目されにくい。 理由としては 病態がとにかく多彩 進行例でない限りわからないこと…

血管ベーチェット病

血管ベーチェット病は非常に難しく、その要因として個人的には3つ挙げたい。 動静脈・血管径問わず様々な病変を起こすため、病変が多彩すぎる ベーチェット病自体確たる診断方法がないのに、血管型に関しては更にあやふやな部分が多く、確定診断が非常に困難…

SLEの眼症状

SLE

Clin Exp Med. 2018;18(2):135-149. SLEの稀な症状として眼病変があるが、詳しくまとめてみる ctd-gim.hatenablog.com SLE患者の約3分の1に眼病変があるとされ、病変部位は様々 SLEの初発症状が眼症状という報告は多々ある 眼窩周囲、付属器、眼球、視神経等…

関節リウマチレビュー(BMJ/Lancet)

Lancet. 2023;402(10416):2019-2033. BMJ. 2024;384:e070856. RAのレビューが相次いで5大ジャーナルから出ていたので、基礎事項確認としてまとめ ◎病態 ◎抗体 ◎臨床症状 ◎治療 Methotrexate Hydroxychloroquine※日本では適応外 ※日本では適応外

炎症性腸疾患の肺病変

炎症性腸疾患(IBD)の腸管外症状は多彩で、ぶどう膜炎・脊椎関節炎などが代表例である。たまに肺病変を起こすこともある。 肺病変パターンは気管支病変・器質化肺炎が頻度的には多く、薬剤性との鑑別が重要。 ◎肺病変分類 ◎診断 ◎薬剤性とIBD肺病変の鑑別 ◎…

自己免疫疾患へのCAR-T療法文献まとめ(2023年度)

難治性自己免疫性疾患へのCAR-Tへの論文がこの3ヶ月大量に出ているので備忘録として、以下列挙。

筋限局血管炎

筋肉には豊富な血管があり、血管炎病変になることが偶にある。まとまった報告はなかったが、自分なりにまとめてみた ポイント 筋限局血管炎は「原因不明の下肢痛+炎症反応高値だが、筋炎と違ってCK正常」というのが典型例 様々な血管炎で起こりうるが、特に…

RA-ILDレビュー(A&R)

Arthritis Rheumatol. 2023;75(12):2067-2077. https://acrjournals.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/art.42640 関節リウマチ(RA)に合併する間質性肺疾患はRA-ILDと総称され、高頻度かつ死亡の重大リスクとして知られている。 画像パターンとしては通…

ANCA関連血管炎維持療法のRTXの指標はANCAとB細胞数どちらが良いか?(MAINTANCAVAS study)

Maintenance of remission of ANCA vasculitis by rituximab based on B cell repopulation versus serological flare: a randomised trial | Annals of the Rheumatic Diseases Annals of the Rheumatic Diseases Published Online First: 11 December 2023…

壊疽性膿皮症+全身症状:PAPA,PASH,PAPSH症候群

Am J Clin Dermatol. 2017;18(4):555-562. 壊疽性膿皮症(Pyoderma gangrenosum: PG)は通常皮膚潰瘍症状として出現するが、全身症状を起こす一群がいる。自然免疫機能障害に伴う自己炎症スペクトラム疾患的な患者群がおり、それぞれPAPA,PASH,PAPASH症候群…

SLE合併妊娠のエキスパートオピニオン(ACR)

SLE

Tarter L, Bermas BL. Expert Perspective on a Clinical Challenge: Lupus and Pregnancy. Arthritis Rheumatol. Published online November 17, 2023. doi:10.1002/art.42756 ACRのエキスパートオピニオンシリーズ。 ●ポイント SLE合併妊娠はSLEフレア・母…

ACR2023内容備忘録

アメリカリウマチ学会ACR2023(https://rheumatology.org/annual-meeting)で印象に残った内容を備忘録としてまとめておく。 【RA】 【SLE】 【血管炎】 【間質性肺炎】 【その他】

二次性偽痛風の鑑別リスト

ピロリン酸カルシウム結晶沈着症(CPPD、偽痛風)のリスクとしては加齢・変形性関節症(OA)・過去の関節外傷・薬剤(利尿薬など)が有名だが、特異的疾患・家族性のものもあり、いわゆる「二次性偽痛風」とされる このため、60歳以下の偽痛風では二次性偽痛…

シェーグレン症候群の診断精度向上へのアプローチ

Baer AN. IMPROVING THE DIAGNOSTIC APPROACH TO SJÖGREN'S DISEASE: A NINETY-YEAR QUEST. Arthritis Rheumatol. 2023;10.1002/art.42735. doi:10.1002/art.42735 SjD(シェーグレン症候群/シェーグレン病)の診断はなかなか難しい。 Sicca症状(腺症状)は…

Dupilumabのリウマチ科的な副作用

Dupilumab(デュピクセント®)はIL-4,13阻害薬で、2023年現在アトピー性皮膚炎・気管支喘息・鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎に適応が通っている。このためリウマチ科以外(呼吸器内科・皮膚科・耳鼻科)で頻用されるバイオ製剤となるが、なぜかリウマチ科にコンサル…

2023EULAR SLE推奨

SLE

Ann Rheum Dis. 2023;ard-2023-224762. ard.bmj.com EULAR2023で公表されていたSLE推奨が論文化。 それほど新規性はないが個人的に気になったポイントは以下の通り ステロイドは初期用量から中等度ステロイド許容という記載あり ステロイド減量目標が7.5mg→5…

EGPAの腎病変

Front Med (Lausanne). 2023;10:1244651. EGPA(好酸球性多発血管炎性肉芽腫症)における腎病変は稀ではあるが、重症例が多い。 Five factors scoreでも腎病変は入っており、EGPA腎病変は重症例としてカウントされる。 1996年Five factors score…蛋白尿(>1g/…

再発性リウマチ性多発筋痛症に対してのSarilumab

N Engl J Med. 2023;389(14):1263-1272. リウマチ性多発筋痛症(PMR)はステロイド単剤治療が可能なリウマチ性疾患ではあるが、ステロイド漸減中によく再発する。 その再使用する薬剤としては、Methtrexate(MTX)・Tocilizumab(TCZ)(保険適応外)があり…

リウマトイド血管炎

Autoimmun Rev. 2023;103391. リウマトイド血管炎(Rheumatoid vasculitis: RV)は、RAの関節外症状として有名だが、RA治療の改善とともに減少傾向にある。 ただ、多彩な臓器症状・鑑別疾患の多彩さ・治療の難しさなど難しい例も散見される。治療としてはRit…

ループス腎炎の治療推奨 (GLOSEN)

Clin Kidney J. 2023;16(9):1384-1402. https://academic.oup.com/ckj/article/16/9/1384/7084031?login=true Spanish Group for the Study of Glomerular Diseases (GLOSEN)からの推奨。ループス腎炎は病型・治療薬が多く、エキスパートオピニオンが推奨に…

痛風への尿酸降下薬使用時、コルヒチン併用に意味はあるのか?

Ann Rheum Dis. 2023;ard-2023-224731. 痛風の慢性期治療・再発予防として尿酸降下薬を行うが、急激な尿酸値の低下が痛風再燃(フレア)に繋がりうるということはよく知られている。 痛風患者に対して尿酸降下療法を実施する際、3-6 か月間抗炎症薬予防内服…

シェーグレン症候群に伴う腎症状

シェーグレン症候群の腎症状は、間質性腎炎の他尿細管異常による電解質異常など多彩。発覚した頃には不可逆的になっていることも多く、治療は非常に難しい。 シェーグレン症候群による腎症状は比較的稀と思われるが、報告によってまちまち(4-33%程度) 無症…

EGPAへのBenralizumab

Benralizumab for eosinophilic granulomatosis with polyangiitis [published online ahead of print, 2023 Aug 7]. Ann Rheum Dis. 2023;ard-2023-224624. doi:10.1136/ard-2023-224624 Benralizumab(ファセンラ®)は、好酸球除去能力が非常に高いIL-5α受…

EGPAへの推奨(Nature Review)

Nat Rev Rheumatol. 2023;19(6):378-393. 多発血管炎性好酸球性肉芽腫症(EGPA)の診断・治療へのエビデンスベースの推奨。大体EULAR・ACRの推奨とほぼ同じ内容。 ctd-gim.hatenablog.com ctd-gim.hatenablog.com ◎包括原則 ◎Statement ◎EGPA治療アルゴリズム

CPPDの新分類基準(2023ACR/EULAR)

Ann Rheum Dis. 2023;ard-2023-224575. CPPD(calcium pyrophosphate deposition disease: ピロリン酸カルシウム沈着症/偽痛風)の新規分類基準が発表された。 6か国の13施設のリウマチ専門医が418人の患者プロファイルを提出→コホートを作成して、その特徴…

低用量ステロイドと骨粗鬆症

Arthritis Rheumatol. 2023;10.1002/art.42529. 骨粗鬆症はステロイドの代表的な副作用であるが、低用量であった場合どれくらいリスクが上がるか?ということは案外わかっていない →骨折リスクの高い女性患者に対するイタリアのデータベース(DeFRA)を元と…

好酸球増多症とEGPA

Mayo Clin Proc. 2023;98(7):1054-1070. 好酸球増多症(HES)と好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)は好酸球増多+臓器症状を起こす疾患で、その2つは未分化な場合がある ポイント 好酸球数の増加は、HESやEGPAによるものである場合がある HESまたはEGPA患…

不明炎症へのPET-CTは診断に有用か?

Clin Rheumatol. 2023;10.1007/s10067-023-06673-x. 不明熱診断の切り札としてPET-CTがあるが、自費検査である点に加えて必ず診断がつくわけではないという問題がある 不明炎症患者へのPET/CTの結果を後ろ向きに分析→PET/CTの鑑別診断の価値を予測する要因を…

ANCA関連血管炎における寛解導入後の蛋白尿・血尿持続は再発と関連する

Kidney Int. 2023;103(6):1144-1155. 寛解導入療法終了時(治療開始から4-6ヶ月後)に採取したスポット尿の蛋白尿・血尿と、死亡/腎不全の複合エンドポイント・再発との関連を見た研究 ANCA関連血管炎(AAV)の腎病変は、慢性腎臓病に進展することが多く、生…

レイノーミミック

レイノー現象でコンサルを受けたときのポイントとしては、 ①レイノー以外に膠原病疑う所見がないか ②本当にレイノー現象か?…二相性変化(赤→白→青)、寒冷曝露で惹起されるか、爪上皮血管異常を伴うか の2点が重要となる。特に多いレイノーミミックは一次性…