肺病変パターンは気管支病変・器質化肺炎が頻度的には多く、薬剤性との鑑別が重要。
◎肺病変分類
601人の日本人IBD患者のHRCTを確認→8.5%に症候性肺病変あり(Acad Radiol. 2018;25(4):407-414.)
病変は非常に多彩(CHEST Pulmonary 2023; 1(3):100018)
気道・気管病変 | 声門/声門下狭窄、気管炎症、気管支拡張症、慢性気管支炎、化膿性気管支炎 |
細気管支病変 | 閉塞性気管支炎、肉芽腫性気管支炎、びまん性汎細気管支炎 |
肺実質病変 | 器質化肺炎(OP)、非特異的間質性肺炎(NSIP)、通常型間質性肺炎(UIP) 急性間質性肺炎、びまん性肺胞出血、壊死性結節 |
血管病変 | 静脈血栓症、ANCA関連血管炎の併存 |
漿膜病変 | 胸膜炎、心膜炎 |
その他 | 結腸気管支瘻、十二指腸-胸膜瘻、サルコイドーシスの併存 薬剤性肺障害、好酸球性の肺浸潤、好酸球性肺炎 |
※太字は高頻度病変(Medicine (Baltimore). 1993;72(3):151-183.)
◎診断
IBD原性と確定診断するのは非常に難しく、基本的には除外診断。薬剤性肺障害との鑑別が特に重要
特に器質化肺炎・胸膜炎は薬剤性肺障害の頻度が多く、薬剤性の除外が必要
◎薬剤性とIBD肺病変の鑑別
スルファサラジン、5-ASA・メサラジン、メトトレキサート、TNF阻害薬などで報告あり
鑑別ポイントは以下の通り(Am J Med. 2020;133(1):39-43.)
特徴 | 薬剤性性肺障害 | IBD関連肺疾患 |
トリガー | 数週〜数ヶ月以内での新規薬剤の開始 | 活動性IBD or トリガーなし |
症状 | 息切れ、発熱、咳嗽、胸痛 | 息切れ、発熱、咳嗽、胸痛 |
病変部位 | 実質>気道 | 気道>実質 |
マネジメント | 薬剤中止 ステロイド考慮 |
ステロイド (吸入 vs 全身投与) |
予後 | 持続的肺障害リスク (アザチオプリン、6-メルカトプリン、メトトレキサート>メサラジン、サラゾスルファピリジン、TNF阻害薬) |
慢性呼吸障害が多い 重度の慢性症状は稀 |
◎治療
定まったものはないが、ステロイド治療が多い。
気道病変
- 器質化肺炎(OP)…ステロイド反応性で、PSL20~50mg/d→前言が多い
- その他シクロホスファミド、ミコフェノール酸モフェチルなど
参考:
World J Gastroenterol. 2014;20(37):13501-13511.
CHEST Pulmonary 2023; 1(3):100018