膠原病・リウマチ一人抄読会

膠原病内科の勉強・アウトプットのため、読んだ論文等を投稿していく予定です。間違いがあれば遠慮なくご指摘ください。個別症例相談には応じられませんのでご了承ください。

血管炎

重症ANCA関連血管炎の再発リスク(PEXIVAS事後解析)

Junek ML, Merkel PA, Vilayur E, et al. Risk of Relapse of Antineutrophil Cytoplasmic Antibody–Associated Vasculitis in a Randomized Controlled Trial of Plasma Exchange and Glucocorticoids. Arthritis Rheumatol. 2024;76(9):1431-1438. doi:10.…

血管ベーチェット病

血管ベーチェット病は非常に難しく、その要因として個人的には3つ挙げたい。 動静脈・血管径問わず様々な病変を起こすため、病変が多彩すぎる ベーチェット病自体確たる診断方法がないのに、血管型に関しては更にあやふやな部分が多く、確定診断が非常に困難…

筋限局血管炎

筋肉には豊富な血管があり、血管炎病変になることが偶にある。まとまった報告はなかったが、自分なりにまとめてみた ポイント 筋限局血管炎は「原因不明の下肢痛+炎症反応高値だが、筋炎と違ってCK正常」というのが典型例 様々な血管炎で起こりうるが、特に…

EGPAの腎病変

Front Med (Lausanne). 2023;10:1244651. EGPA(好酸球性多発血管炎性肉芽腫症)における腎病変は稀ではあるが、重症例が多い。 Five factors scoreでも腎病変は入っており、EGPA腎病変は重症例としてカウントされる。 1996年Five factors score…蛋白尿(>1g/…

リウマトイド血管炎

Autoimmun Rev. 2023;103391. リウマトイド血管炎(Rheumatoid vasculitis: RV)は、RAの関節外症状として有名だが、RA治療の改善とともに減少傾向にある。 ただ、多彩な臓器症状・鑑別疾患の多彩さ・治療の難しさなど難しい例も散見される。治療としてはRit…

EGPAへの推奨(Nature Review)

Nat Rev Rheumatol. 2023;19(6):378-393. 多発血管炎性好酸球性肉芽腫症(EGPA)の診断・治療へのエビデンスベースの推奨。大体EULAR・ACRの推奨とほぼ同じ内容。 ctd-gim.hatenablog.com ctd-gim.hatenablog.com ◎包括原則 ◎Statement ◎EGPA治療アルゴリズム

関節リウマチとANCA関連血管炎のオーバーラップ

関節リウマチ(RA)とANCA関連血管炎(AAV)も頻度が多く、RAにおけるANCA陽性・AAVにおけるリウマトイド因子(RF)陽性はよく見る印象。ただその意義はいまいちわかっていない。 RA・AAV両方を合併、 AAV患者におけるRF陽性、RA患者におけるANCA陽性 の3つ…

巨細胞性動脈炎・高安動脈炎の新分類基準(ACR/EULAR2022年基準)

Ann Rheum Dis. 2022;81(12):1647-1653. Ann Rheum Dis. 2022;81(12):1654-1660. ANCA関連血管炎に続いて、巨細胞性動脈炎(giant cell arteritis, GCA)、高安動脈炎の大血管炎両方の基準が1990年以来約30年ぶりに改訂となった。 ctd-gim.hatenablog.com 正…

蕁麻疹様血管炎

全身症状・皮疹を起こす「その他の血管炎」の一つに蕁麻疹様血管炎がある。 「治らない蕁麻疹・皮疹」の生検結果でleukocytoclasic vasculitisが出たとき、蕁麻疹様血管炎を疑って精査したほうが良い。 膠原病や悪性腫瘍に併発することもあり治療も非常に難…

75歳以上のANCA関連血管炎へのRituximabの有効性・安全性

ANCA関連血管炎(AAV)へのRituximab(RTX)はkey-drugと化しており、RTXを使うことができればステロイド用量を大幅に削減できることがわかっている。一方で75歳以上への適応は不明な部分があり、RTX使用をためらうシーンは多々ある。 それに関してJAMAに報…

炎症性腸疾患と血管炎

Crohn病(CD)・潰瘍性大腸炎(UC)といった炎症性腸疾患(IBD)は血管炎との関連が知られている。 大別すれば ①IBD単独、血清マーカーだけ陽性(血管炎合併なし) ②IBDと血管炎合併 ③IBDそのものが血管炎を起こす(腸外症状の一部) ④血管炎がIBDのような消…

大血管巨細胞性動脈炎(LV-GCA)のミミック

J Clin Med. 2022;11(3):495. 巨細胞性動脈炎(Giant cell arteritis: GCA)は2つのサブタイプに分かれる Cranial GCA…頭蓋血管の血管炎。いわゆる「側頭動脈炎」 Large vessel GCA(LV-GCA)…頭蓋領域外の動脈(大動脈・総頸動脈・鎖骨下動脈など)のみの血…

ANCA関連血管炎の新分類基準(ACR/EULAR2022年基準)

Arthritis Rheumatol. 2022;10.1002/art.41986. Arthritis Rheumatol. 2022;10.1002/art.41983. Arthritis Rheumatol. 2022;10.1002/art.41982. ACR(アメリカリウマチ学会)/EULAR(ヨーロッパリウマチ学会)合同でのANCA関連血管炎の新分類基準が出たので…

膠原病による胆嚢炎

胆嚢炎は膠原病内科からするとあまり関係のない疾患に見えるが、稀に「膠原病(特に全身性血管炎)に伴う胆嚢炎」というものもある。 あまりまとまった報告はないが、自分なりにまとめてみた。 【Key-point】 「血管炎に伴う胆嚢炎」という概念がある 血管炎…

側頭動脈炎の鑑別

J Clin Med. 2022 Jan 5;11(1):275. 側頭動脈の血管炎がある場合、通常巨細胞性動脈炎(GCA)を想起するが、他の原因の場合もある 側頭動脈炎=巨細胞性動脈炎でない事がよく分かるレビュー Key-point 側頭動脈炎の原因として最多なのは巨細胞性動脈炎だが、…

全身性血管炎と皮膚症状アップデート

Updates in cutaneous manifestations of systemic vasculitis. Curr Opin Rheumatol. 2021;10.1097/BOR.0000000000000847. doi:10.1097/BOR.0000000000000847 血管炎皮膚症状のアップデート ◎Key point 皮膚生検は、皮膚血管炎の診断・分類ミミック除外のた…

重症ANCA関連血管炎に対するRitixmab・Cyclophosphamide・血漿交換の併用療法

Gulati K, Edwards H, Prendecki M, et al. Combination treatment with rituximab, low-dose cyclophosphamide and plasma exchange for severe antineutrophil cytoplasmic antibody-associated vasculitis [published online ahead of print, 2021 Sep 21…

EGPA(好酸球性多発血管炎性肉芽腫症)レビュー

Trivioli G, Terrier B, Vaglio A. Eosinophilic granulomatosis with polyangiitis: understanding the disease and its management. Rheumatology (Oxford). 2020;59(Suppl 3):iii84-iii94. doi:10.1093/rheumatology/kez570 EGPA(好酸球性多発血管炎性肉…

巨細胞性動脈炎(GCA)・高安動脈炎(TAK)ACRガイドライン2021

Arthritis Rheumatol. 2021;10.1002/art.41774. 大血管炎の巨細胞性動脈炎(GCA)・高安動脈炎(TAK)に対してのACR(アメリカリウマチ学会)の2021年最新ガイドライン。 GCA治療推奨 TAK治療推奨 ①GCAの検査への推奨 ②GCAの治療への推奨 ③高安動脈炎の治療…

結節性多発性動脈炎(PAN)ACRガイドライン2021

Arthritis Rheumatol. 2021;10.1002/art.41776. 結節性多発性動脈炎(PAN)に対してのACR(アメリカリウマチ学会)の2021年最新推奨。 結節性多発性動脈炎(PAN)は中型血管炎の一種で全身症状の他 神経症状…多発単ニューロパチー、末梢神経障害 皮膚症状…結…

ANCA関連血管炎ACRガイドライン2021

Arthritis Rheumatol. 2021;10.1002/art.41773. ANCA関連血管炎に対してのACR(アメリカリウマチ学会)からの最新推奨 1.多発血管炎性肉芽腫症(GPA)・顕微鏡的多発血管炎(MPA) 2.好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA) 参考:以前のレビュー ctd-gim.hat…

血管炎ミミック

Mimics of vasculitis. Rheumatology (Oxford). 2021;60(1):34-47. 血管炎は迅速な診断が重要だが、「血管炎ミミック」も多々存在する 代表的なものとして 大・中型血管炎…遺伝性疾患、血管障害 中・小型血管炎…コレステロール塞栓症、血栓症、カルシフィラ…

ANCA関連血管炎における筋生検

Rheumatology (Oxford). 2021;60(2):699-707. ポイント 筋生検はANCA関連血管炎の診断に有用 MPO-ANCA陽性例・女性・好中球数増多が筋生検陽性率が高い 筋生検は非腎性AAV・腎生検ができないときに考慮すべき 【前置き】 ANCA関連血管炎(AAV)の診断は困難…

巨細胞性動脈炎の治療失敗予測因子

" Treatment failure in giant cell arteritis" Ann Rheum Dis. 2021;annrheumdis-2021-220347. 巨細胞性動脈炎(Giant cell arteritis: GCA)は糖質コルチコイド(GC、以下ステロイドと表記)単剤治療では再発しやすく、IL-6阻害薬Tocilizumab(TCZ)を併用…

巨細胞性動脈炎と大動脈炎:レビュー

巨細胞性動脈炎(Giant cell arteritis: GCA)は動脈瘤、破裂、大動脈解離などの重篤な大動脈合併症を合併する場合がある。 GCAの発症初期に起こる場合もあれば、数年の経過後の動脈瘤という形もある 大動脈炎の有病率は過小評価されており、致死的な合併症…

巨細胞性動脈炎の80歳以上の患者へのTocilizumabの有効性・安全性

“Assessment of the efficacy and safety of tocilizumab in patients over 80 years old with giant cell arteritis” Arthritis Res Ther. 2021;23(1):143. 巨細胞性動脈炎(Giant Cell Arteritis: GCA)へのTocilizumab(TCZ)の有効性についてはGiACTA tr…

全身性強皮症とANCA関連血管炎の合併

“ANCA in systemic sclerosis, when vasculitis overlaps with vasculopathy: a devastating combination of pathologies” Rheumatology (Oxford). 2021;keab278. 全身性強皮症(SSc)は、基本的には皮膚を始めとした臓器の「線維化」を起こす疾患であるが、…

ANCA関連血管炎における胸膜炎・心膜炎

“Pleuritis and Pericarditis in ANCA-Associated Vasculitis” Chest. 2021;S0012-3692(21)00449-9. ANCA関連血管炎(AAV)はどこにでも炎症を起こすので、当然胸膜炎・心膜炎を起こすこともある →ANCA関連血管炎における胸膜炎・心膜炎の頻度・特徴を調べて…

ANCA関連血管炎と肺病変

Sebastiani M, Manfredi A, Vacchi C, et al. Epidemiology and management of interstitial lung disease in ANCA-associated vasculitis. Clin Exp Rheumatol. 2020;38 Suppl 124(2):221-231. 原因不明の間質性肺炎を見たとき、何となくANCAを測定している…

難治性巨細胞性動脈炎に対してのTocilizumab単剤 VS Tocilizumab+免疫抑制剤併用

Semin Arthritis Rheum. 2021;51(2):387-394. “Tocilizumab in refractory giant cell arteritis. Monotherapy versus combined therapy with conventional immunosuppressive drugs. Observational multicenter study of 134 patients" 巨細胞性動脈炎の治…