Chest. 2022;162(1):156-178.
膠原病診療をしているとよく器質化肺炎に悩まされるが、その診断は非常に難しい。その理由としては症状が非特異的、画像が多彩、除外診断が基本、ということが挙げられる。非常に良いレビューがあったので、まとめてみた。
【器質化肺炎について】
器質化肺炎(Organizing pneumonia)は、肺胞障害によって起こる間質性肺炎の病理組織的なパターンの一つで、肺胞を中心とした結合組織におけるポリープ状プラグ(polypoid plugs)が特徴的な組織所見である。
一次性・二次性に別れ、
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一次性…特発性器質化肺炎(COP, Cryptogenic OP)
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二次性…二次性器質化肺炎(SOP, Secondary OP) と呼ばれる
【臨床像・分類】
OPに特異的な所見はないため、診断が遅れることが非常に多い
OPの症状
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多い…乾性咳嗽、肺炎様症状、労作時呼吸困難
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報告あり…発熱、疲労、体重減少
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まれ…喀血、人工呼吸器が必要なレベルの呼吸困難
COP・SOPで頻度の異なる症状はないとされる。
身体所見…吸気時雑音が多いが、~25%の患者では正常。
表:OPの症状
表:OPの分類
【診断アルゴリズム】
図:OPへのアプローチアルゴリズム
①臨床状況
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臨床所見からOPを疑う。
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OP合併することの多い基礎疾患がある…リウマチ性疾患など
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持続する「肺炎」
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移動性の肺実質consoludation
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感染がない中での全身症状(発熱・寝汗など)
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呼吸器症状(咳嗽、呼吸困難)
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採血(CRP/ESR上昇、白血球・プロカルシトニン正常)
②HRCTを撮像
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Consolidation主体、結節性陰影主体、線状/網状陰影が主体の3群に分けられる
③MDD(Multidisciplinary discussion)レビューを行う
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臨床所見・画像所見がOPに典型的な場合、MDDレビューは不要な可能性あり
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患者状況・鑑別診断・症状から、経過観察・経験的治療実施・BALのみ実施・組織診断実施のいずれかを行う
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OPの診断が確定したら、二次性OP有無について精査を行う
④長期フォロー
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治療…確立したものはないが、PSL0.5-1.5mg/kgで開始→6-12ヵ月かけて漸減・終了していく事が多い
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約20%は治療抵抗性で、クロホスファミド、アザチオプリン、ミコフェノール酸塩、リツキシマブが使用されることがある
【画像所見】
①Consolidation主体
OPで最も一般的な所見で、4分の3に見られる。移動性の所見が特徴的。肺のどこにでも起こり、限局性・多発性・びまん性・結節性・腫瘤性などあらゆる形態を取る。
広範な小葉内線状混濁、中隔肥厚、網状化を起こすこともあり、「crazy-paving pattern」と呼ばれる。
②結節性陰影主体
大きさは様々。腫瘤の場合、不規則な陰影となり気管支炎も含むことがある。
③線状/網状陰影主体
胸膜直下への帯状陰影が多く、すりガラス陰影・consolidationが先行することが多い。更に進行すると、肺底部・胸膜直下の網状陰影を起こすことがあり、間質の繊維化進行を示唆している。さらに牽引性気管支拡張を起こしてNSIPに類似した所見になることもある。
参考: