Rheumatology (Oxford). 2021;keab675.
PET-CTは悪性腫瘍の評価として有名だが、リウマチ性疾患の診断にも非常に有用である。
日本では大血管炎に対してのみ保険適応があり、自費検査では非常に高価である。
ただ、画像パターンを知っておくと診断・鑑別・フォロー全てに有効と思われる。
【確立された適応疾患】
①大血管炎
症例)中年男性、食欲低下・発熱・体重減少、炎症反応高値
PET-CT…大動脈及び主要分岐に高信号
◎解説
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大血管炎には、巨細胞動脈炎(GCA)・高安動脈炎(TAK)の2つのサブタイプがある
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大動脈・分岐の血管壁への滑らかな線形状の取り込み亢進は、活動性血管炎を示唆する
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動脈硬化の場合、外観がより不均一かつ不連続であることが多い
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頭蓋外血管病変や慢性合併症を特定することにも非常に有用
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GCAにリウマチ性多発筋痛症(PMR)が合併している場合、関節・滑液包に取り込み亢進が起こる場合がある
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治療後フォローでのFDG-PETでの寛解予測はある程度有効そうだが、相関しないという報告もあるため、現状臨床的価値は不明
②サルコイドーシス
症例)皮膚・肺サルコイドーシスのある中年女性、新規の咳嗽・倦怠感
PET-CT…肺結節、胸腔内リンパ節腫脹、肝結節への高取り込み、腸骨への高取り込み。CTでは検出困難な病変もPET-CTで検出できる。
◎解説
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PET-CTは、活動性サルコイドーシスの検出感度が高い(89〜100%)
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→病変の特定・生検部位の決定に有用
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治療反応性と相関している
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治療によりPET−CTでの取り込み減少が症状改善と関連している
【不明熱】
③リウマチ性多発筋痛症(PMR)
症例)SLEといわれていた中年女性、ステロイド漸減していくと体重減少・頚部/肩/骨盤部痛あり
PET-CT…肩・股関節に取り込み亢進、近位大腿骨・骨盤・脊柱付近の腱付着部炎/滑液包炎
◎解説
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PMRのPET-CTは、肩・股関節・胸鎖関節周辺の対称性取り込み亢進+骨盤・脊柱周辺の筋腱付着部・滑液包への取り込み亢進の2つが特徴
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2つの所見が組み合わさると特異的
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関節所見が乏しい場合も検出可能であり、GCA合併有無も評価可能
④皮膚筋炎/多発筋炎(PM/DM)
症例)TIF1γ抗体陽性皮膚筋炎のある中年女性、MRI・CTでは悪性腫瘍所見なし、5ヶ月後に左胸部・左上腕痛あり
PET-CT…筋炎診断時は胸鎖乳突筋・大胸筋・三角筋の取り込み亢進のみ(A-E)→5ヶ月後には局所リンパ節転移を伴う左乳癌が発覚(F-J)
◎解説
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筋炎症状…近位筋への対称性取り込み亢進が多い
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血清CK値との正の相関あり
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間質性肺疾患(ILD)への高取り込みが見られる場合、予後不良・急速進行性ILDのリスクあり
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悪性腫瘍…DM/PMともに悪性腫瘍と関連している
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PET-CTを行うことで複数の腫瘍スクリーニングを一気に行うことが可能である
⑤成人Still病(AOSD)
症例)中年女性、咳嗽・関節痛・筋肉痛・発疹・寝汗・体重減少で受診、採血上高度炎症反応・高フェリチン血症
PET-CT…広範リンパ節腫脹、脾臓・骨髄への取り込み、両手・肘・小関節への対称性関節炎
→リンパ腫を除外した上でAOSDと診断
→治療3ヶ月後のPET-CTでは正常化(H)
◎解説
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全身リンパ節の対称性の腫脹・取り込み亢進、脾臓・骨髄のびまん性取り込み亢進が特徴的→不明熱の鑑別で有用
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取り込みの強さと疾患重症度は相関し、マクロファージ再活性化症候群リスクも上がる
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リンパ腫との鑑別は困難だが、AOSDでは対称性の関節炎所見がある事が多い。ただしそれだけでは鑑別困難→生検が重要
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治療することで取り込みは低下することが多い
【新たな適応疾患】
⑥再発性多発軟骨炎(RP)
PET-CT…気管・肋軟骨への取り込み亢進・気管狭窄
◎解説
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中枢気道、鼻・耳介軟骨への多発性対称性のFDG取り込み亢進が特徴的
⑦関節リウマチ(RA)
症例)高齢男性、多発関節痛
PET-CT…広範囲の対称性多関節炎
◎解説
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対称性分布の多関節の滑膜への取り込みが特徴的
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大動脈・頚動脈の炎症所見があることもあり、高疾患活動性・心血管リスク増加との相関あり
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PET-CTでの取り込み強度と疾患活動性・生化学検査・画像所見(エコーなど)と相関関係あり
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PMRとの鑑別に有用…大腿・骨盤・脊柱周囲の筋腱付着部・滑液包への取り込み亢進がRAでは見られない
⑧多発血管炎性肉芽腫症(GPA)
症例)GPA・声門下狭窄のある中年女性、喘鳴息切れ悪化あるが炎症反応・PR3-ANCA力価問題なし
PET-CT…声門下軟部組織の肥厚・取り込み亢進
◎解説
⑨免疫チェックポイント阻害薬誘発性リウマチ性疾患(irAE)
症例)前立腺癌に対してIpilimumab+Nivolumabで治療中の高齢男性、新規の胸痛・炎症反応高値
FDG-PET…大動脈及び主要分岐の血管壁への取り込み亢進(A-D)
→irAEによる大血管炎と判断しステロイド治療を行ったところ、画像所見含めて改善(E-H)
◎解説
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免疫チェックポイント阻害薬に伴って起こるリウマチ性疾患は、筋肉(34%)、肉芽腫(6%)、血管炎(12%)、全身性(12%)に分類される
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従来の画像検査と比較してPET-CTは、irAEの早期発見・治療反応性評価を行うことが可能である
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一部は臨床症状に先行して画像所見として出現し、個別化されたリスク対応が可能である
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転移との鑑別にもつながる
⑩IgG4関連疾患
症例)若年男性、嘔吐・下痢・体重減少・寝汗・関節痛、既往:原因不明の急性膵炎・潜在性結核、左頚部リンパ節、採血上炎症反応高値・腎機能障害・IgG4高値
→IgG4-RDと診断、PSL投与後PET-CT所見も改善
◎解説
【まとめ】
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FDG-PET-CTのリウマチ性疾患への使用の有用性を示すデータは増え続けている
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FDG取り込みそのものは非特異的だが、分布パターンによって鑑別を狭めることに役立つ
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また活動性疾患の真の病変範囲を示し、従来の画像診断では特定できない部位を特定し、予後に対しての意義があることに加え、生検部位の特定に有用である