膠原病・リウマチ一人抄読会

膠原病内科の勉強・アウトプットのため、読んだ論文等を投稿していく予定です。間違いがあれば遠慮なくご指摘ください。個別症例相談には応じられませんのでご了承ください。

器質化肺炎の臨床像/画像/鑑別

器質化肺炎(Organizing Pneumonia; OP)は間質性肺炎の一種で、肺胞腔内の線維芽細胞増殖→気腔閉塞を主病態とする。
うち背景疾患なく起こるものを特発性器質化肺炎(Cryptogenic Organizing Pneumonia; COP)、膠原病などの背景疾患を元に起こるものを二次性器質化肺炎(Secondary Organizing Pneumonia; SOP)という
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臨床像
  • 50−60代に多い
  • 男女比は1:1程度
  • 間質性肺炎の中では比較的急性の経過をとることが特徴であり、数週間-数ヶ月の急性〜亜急性経過の呼吸困難で発症する
  • 比較的多いのは、咳嗽あるが喀痰なし・呼吸困難・発熱・食欲低下・悪寒である
    • 咳嗽の比率よりもcracklesの方が頻度高い
  • 喫煙率は30−50%と比較的低率である
  • 61人のまとめ
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      • Chest. 2011;139(4):893-900. 
  • COP56人の臨床症状まとめ
    • 診断以前に抗生剤を使った例も半数を超える
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        • Turk Thorac J 2018; 19(4): 201-8
  • どちらの研究でもCOPとSOPで臨床症状に差はない
「乾性咳嗽・発熱・呼吸困難・画像所見の肺炎像は派手だが、抗生剤に反応しないよくわからない肺炎」というのが器質化肺炎の臨床像である
また、「咳も呼吸困難もなく発熱症状だけで、画像だけはしっかりとした肺炎」というパターンもありうる。
 
画像
  • いろいろパターンはあるが、典型的なのは「両側性のすりガラス陰影+濃いconsolidation±airbronchogram
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  • その他、多発結節/腫瘤影状に見えるパターンやReverse halo signを示す場合もある
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      • 散在性結節
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画像含めてDiagn Interv Imaging. 2014;95(9):771-777.  参考に作成)
 
鑑別診断
鑑別診断は多岐にわたる(症状・肺画像所見があまり特異的ではないため)

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  • SOPのうち比較的多かったのは、関節リウマチ・シェーグレン症候群など
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    • 特に関節リウマチのとの関連は興味深く、OPが先行し後でRA症状が出た例、OPとRAが同時発症した例など、経過は様々(Clin Med Insights Circ Respir Pulm Med. 2015;9(Suppl 1):69-80. 
参考: