膠原病・リウマチ一人抄読会

膠原病内科の勉強・アウトプットのため、読んだ論文等を投稿していく予定です。間違いがあれば遠慮なくご指摘ください。個別症例相談には応じられませんのでご了承ください。

手指変形性関節症の2023年EULAR基準

Haugen IK, Felson DT, Abhishek A, et al. 2023 EULAR classification criteria for hand osteoarthritis. Ann Rheum Dis. Published online May 31, 2024. doi:10.1136/ard-2023-225073
EULARより手指変形性関節症(OA)の更新定義が公表されていたのでまとめ。
高齢・こわばりが短い・骨棘形成・関節裂隙狭小化・症状部位と画像所見部位の一致の5つが重要。外疾患の除外が必須というのは注意。

 

表1:手OA全体への2023年EULAR分類基準セット

対象者(必須条件):過去6週間のほとんどの日にターゲット関節(両側第2-5DIP、第2-5PIP、IP1および親指基部関節)の少なくとも1つに痛み、うずき、および/またはこわばりがあり、症状を説明できる他の疾患や急性外傷がない人。*
分類基準:5つの基準スコアを合計し、合計が9/15以上でOAと定義
項目 条件 スコア
年齢 45歳未満 0
45–54歳 1
55–64歳 2
65歳以上 3
DIP、PIP、IP1、CMC1の朝のこわばりの持続時間 長い(30分以上) 0
なし 1
短い(30分以下) 2
DIP、PIP、IP1、CMC1関節の骨棘数 なし 0
1–2関節 2
3–5関節 3
6関節以上 4
DIP、PIP、IP1、CMC1関節の関節裂隙狭小化(JSN)の数 なし 0
1–2関節 1
3–5関節 2
6関節以上 3
症状と構造の一致† いいえ 0
はい 3
*鑑別診断…結晶性関節症・ヘモクロマトーシスなどの非炎症性手疾患、リウマチ性関節炎・乾癬性関節炎などの全身性炎症性関節疾患。乾癬の既往歴がある人はターゲット集団から除外されるべき。
†過去6週間のほとんどの日に痛み、うずき、および/またはこわばりを経験した関節(DIP、PIP、IP1、CMC1)の少なくとも50%に放射線学的OA(骨棘またはJSN)が存在すること。
  • CMC1: 第一手根中手関節
  • DIP: 遠位指節間関節
  • EULAR: ヨーロッパリウマチ学会
  • IP1: 第一指節間関節
  • JSN: 関節裂隙狭小化
  • OA: 変形性関節症
  • PIP: 近位指節間関節

表2:interphalangeal OAへの2023年EULAR分類基準セット:

対象者(必須条件):過去6週間のほとんどの日にターゲット関節(両側第2-5DIP、第2-5PIPおよびIP1関節)の少なくとも1つに痛み、うずき、および/またはこわばりがあり、症状を説明できる他の疾患や急性外傷がない人。*
分類基準(5つの基準スコアを合計し、合計が8/15以上で指節間OAと定義)
項目 条件 スコア
年齢 45歳未満 0
45–54歳 1
55–64歳 2
65歳以上 3
DIP、PIP、IP1の朝のこわばりの持続時間 長い(30分以上) 0
なし 1
短い(30分以下) 2
DIP、PIP、IP1関節の骨棘数 なし 0
1–2関節 2
3–5関節 3
6関節以上 4
DIP、PIP、IP1関節の関節裂隙狭小化(JSN)の数 なし 0
1–2関節 1
3–5関節 2
6関節以上 3
症状と構造の一致† いいえ 0
はい 3
*鑑別診断…結晶性関節症・ヘモクロマトーシスなどの非炎症性手疾患、リウマチ性関節炎・乾癬性関節炎などの全身性炎症性関節疾患。乾癬の既往歴がある人はターゲット集団から除外されるべき。
 

表3:母指基部OAへの2023年EULAR分類基準セット:

対象者(必須基準):過去6週間のほとんどの日に、少なくとも1つの対象関節(両側の母指基節関節)に疼痛、痛み、および/またはこわばりを有し、症状を説明できる他の疾患または急性の損傷がない人*。
母指基部OAの分類基準(5つの基準を加算し、合計が8/15以上で母指基部OAと定義)
項目 条件 スコア
年齢 45歳未満 0
45–54歳 1
55–64歳 2
65歳以上 3
親指基部関節の朝のこわばりの持続時間 長い(30分以上) 0
なし 1
短い(30分以下) 2
CMC1関節の骨棘数 なし 0
1関節 2
2関節 4
CMC1関節の関節裂隙狭小化(JSN)の数 なし 0
1関節 2
2関節 3
症状と構造の一致† いいえ 0
はい 3
*鑑別診断…結晶性関節症・ヘモクロマトーシスなどの非炎症性手疾患、リウマチ性関節炎・乾癬性関節炎などの全身性炎症性関節疾患。乾癬の既往歴がある人はターゲット集団から除外されるべき。