膠原病・リウマチ一人抄読会

膠原病内科の勉強・アウトプットのため、読んだ論文等を投稿していく予定です。間違いがあれば遠慮なくご指摘ください。個別症例相談には応じられませんのでご了承ください。

治療抵抗性PsA

D2TRAならぬD2TPsAという概念を提案したレビュー

◎D2TPsA基準

以下の2つを満たすもの
①推奨に従った治療をしている+csDMARDs治療失敗後に3種類以上のb/tsDMARDsでの治療に失敗している(D2TRAでは2種類の失敗でOK)
②PsAの活動性所見あり(DAPSA、皮膚病変、炎症反応)or患者/医師が問題視している所見・症状あり

 

◎管理方法

  1. D2TPsAの定義に当てはまるか確認
  2. 皮膚症状の問題→皮膚科医と相談
  3. 客観的に筋骨格症状を評価できるか?…超音波検査など
    1. 評価できない→ミミックの除外…線維筋痛症、肥満、うつ病
  4. 診断の確認…鑑別:OA、SeropositiveRA、SAPHO、CPPD関節炎
  5. 利用可能な治療法の選択
  6. 非薬物治療…患者教育、運動、PT/OT、リハビリ、カイロプラクティック鍼灸など

 
①診断の確認…本当にPsA?
☑“inflammatory OA”との鑑別が重要
鑑別Pearl「PsAのDIP関節炎がある場合、爪乾癬があることがほとんど」→爪乾癬がない場合のDIP関節炎はPsAではない??(正直怪しい…)
 
☑軸性PsAの鑑別疾患…変形性脊椎症、DISH(びまん性特発性骨増殖症)
変形性脊椎症…炎症性腰痛、30 分以上の朝のこわばり、夜間痛が無いことが多い
DISH…画像では鑑別困難なことが多い→放射線科と相談、全体像の把握(椎間板、椎間関節、前縦靭帯、後縦靭帯の観察)
 
☑末梢性PsAの鑑別疾患…変形性関節症(OA)、SAPHO、CPPD関節炎、Seronegative RA、痛風、敗血症性関節炎、反応性関節炎
→各種培養、滑液検査、X線画像などで鑑別
 
②疼痛は炎症によるものか確認
PsAは併存疾患によって活動性が悪化する…肥満、うつ病線維筋痛症
 
③患者都合での治療困難
アドヒアランス不良→患者教育、自己注射から定期点滴への変更、アプリの活用、Shared-decision-making
金銭面→バイオシミラーなどの活用
④治療強化
生物学的製剤等を利用することでoutcomeは改善するが、薬剤選択は非常に難しい

スイッチしても効果がないことも多い
 
提案されている方法は以下の通り
  • csDMARDsを最大容量にする
  • MTXを注射製剤に変更、分割投与
  • 体重調整用量の生物学的製剤
  • 関節/軟部組織への注射
  • 生物学的製剤の複数併用(保険適応なし)…例)TNF阻害薬+IL-23阻害薬など