膠原病・リウマチ一人抄読会

膠原病内科の勉強・アウトプットのため、読んだ論文等を投稿していく予定です。間違いがあれば遠慮なくご指摘ください。個別症例相談には応じられませんのでご了承ください。

Rituximab投与後の発熱の鑑別

Rituximab(リツキシマブ、RTX)投与後の遷延する発熱は、インフュージョンリアクションが有名だが他にも鑑別がある。
特にSerum sicknessは忘れがちだが、重度の合併症のため注意。
感染症を除けば、過敏症様のものが多く基本的にはステロイド抗ヒスタミン剤投与での治療が中心。

Infusion reaction

RTX投与後の発熱としてはおそらく最もコモンな疾患
RTXとCD20の間の抗体抗原相互作用に伴うサイトカイン放出が原因とされ、投与後30分−2時間以内に発症するが、症状は最大24時間遅延する場合がある。
それ以上遷延するようなら、他疾患の鑑別が必要
 
治療は一般的な急性アレルギーに準じる
参考
 

②サイトカイン放出症候群

血液悪性腫瘍に対してRTXを用いた症例に多い。腫瘍量が多い患者では注意が必要。
まれに自己免疫性疾患患者への使用でも発生する
抗体の急速な注入→IFN-γ、IL-8、TNF-αのような炎症性サイトカインの増加→サイトカインストームという流れ
鑑別…Capillary-leak-syndrome、Serum sickness(後述)
症状…発熱、皮疹、浮腫
 

③アレルギー反応

血清病以外も稀だが、報告あり

◎RTX過敏症, Rituximab Hypersensitivity

IgE介在性の過敏症
症状…アナフィラキシー様(発熱、皮疹、蕁麻疹、喘鳴、血圧低下など)

◎血清病, Serum sickness(Rituximab‐induced serum sickness; RISS)

投与後 1- 2 週間で発生する稀かつ重度の合併症
リスク…血液悪性腫瘍、高ガンマグロブリン血症・リウマトイド因子高値のリウマチ性疾患(シェーグレン症候群、クリオグロブリン血症など)
→IgG高値の患者への投与時は注意が必要
症状…発熱、発疹、関節痛が三徴。場合によっては腎障害
治療…基本的にはステロイド高用量+抗ヒスタミン剤 
レビュー(個人的には必読)
 
Steven-Johnson症候群の報告もあり、致死的なため注意 
 

感染症

RTXによるB細胞枯渇は感染症リスクを高める。様々あるが、代表例としてCovid-19注意。

◎Covid-19

SARS-CoV-2 感染が数か月間持続して、長期の発熱・呼吸困難・低酸素症などの症状が現れることがあり注意 
SARS-CoV-2のPCR値の低下も緩徐。189日間陽性だった例もある