血清IgG4値高値でIgG4関連疾患疑いとして紹介されてくることは多いが、ほか病態でもIgG4値上昇があることも多い。
その中で忘れがちな鑑別としては以下の2つ
・高ガンマグロブリン血症…Sjögren症候群、多発性骨髄腫、MGUSなど
→IgG4高値症例で好酸球増多には注意
IgG4関連疾患では、以下の免疫学的特徴がある:
アレルギー性反応として以下も特徴的
- 好酸球増多は約48%の症例で認められる
高IgE血症は約70%の症例で合併する
- Intern Med. 2023;62(12):1849-1855.
これは IgG4RDではTh2優位のサイトカイン産生とTreg細胞の増加により、アレルギー性の要因が誘導される→高IgE血症や好酸球増多が引き起こされる、という機序が提唱されている。
このため、以下を覚えておく必要がある
- 好酸球増多があった場合、IgG4RDも鑑別。逆に血清IgG4高値があった場合、好酸球性病態を鑑別する(特にEGPAに注意)
- 逆に好酸球増多症(HES)を疑った場合、IgG4関連疾患有無を確認する
- 血清IgG4高値とIgG4RDの重症度は必ずしも相関しない
- IgG4RDでは高熱、高CRP、好中球増多は珍しい→高熱、高CRP、好中球増多+IgG4高値の場合、感染性・炎症性疾患の除外を優先する
◎EGPAにおけるIgG4高値について
- 46人のEGPA患者の分析…IgG4濃度はバーミンガム血管炎活動性スコア(BVAS)と相関していた
- EGPA患者46例の解析…血清 IgG4値は疾患発現数・BVASと相関。ただし生検結果でのIgG4陽性質細胞浸潤とは関連しない。
- Annals of the Rheumatic Diseases 2012;71:390-393.
- EGPAのうちANCA陰性の間質性腎炎ではIgG4陽性の場合も多い
→血清 IgG4値高値のEGPAは高疾患活動性かもしれない
ちなみANCA関連血管炎とIgG4関連疾患のオーバーラップらしき報告も少数あるため注意(Immunol Res. 2022;70(4):550-559.)
◎IgG4関連疾患における好酸球増多