膠原病・リウマチ一人抄読会

膠原病内科の勉強・アウトプットのため、読んだ論文等を投稿していく予定です。間違いがあれば遠慮なくご指摘ください。個別症例相談には応じられませんのでご了承ください。

好酸球増多病態と血清IgG4値

血清IgG4値高値でIgG4関連疾患疑いとして紹介されてくることは多いが、ほか病態でもIgG4値上昇があることも多い。
その中で忘れがちな鑑別としては以下の2つ
・高ガンマグロブリン血症…Sjögren症候群、多発性骨髄腫、MGUSなど
好酸球増多症…EGPA(好酸球性多発血管炎性肉芽腫症、HES(本態性好酸球増多症)、好酸球性喘息など
IgG4高値症例で好酸球増多には注意
 

 

IgG4関連疾患では、以下の免疫学的特徴がある:
  • 血清IgG4高値(135mg/dl以上)
  • ポリクローナルな高γグロブリン血症
  • 低補体血症(20∼40%の頻度、IgG4RDの腎疾患では50∼70%と特に高頻度)
アレルギー性反応として以下も特徴的
  • 好酸球増多は約48%の症例で認められる
高IgE血症は約70%の症例で合併する
    • Intern Med. 2023;62(12):1849-1855.
これは IgG4RDではTh2優位のサイトカイン産生とTreg細胞の増加により、アレルギー性の要因が誘導される→高IgE血症や好酸球増多が引き起こされる、という機序が提唱されている。
 
このため、以下を覚えておく必要がある
 
◎EGPAにおけるIgG4高値について
血清 IgG4値高値のEGPAは高疾患活動性かもしれない
  ANCA陽性 ANCA陰性
腎病変頻度 高頻度 低頻度
病態 壊死性血管炎 好酸球による傷害
病理 半月体形成性糸球体腎炎
pauci-immune型壊死性糸球体腎炎(中小血管炎)
膜性腎症(10%)
膜性増殖性糸球体腎炎(3%)
間質性腎炎(10%)…好酸球浸潤が多いが、IgG4陽性形質細胞浸潤も多い(IgG4関連疾患オーバーラップ?)
病理例①
フィブリノイド壊死(*)
ボウマン嚢破裂(△)
半月体形成性糸球体腎炎
(PAM x40

好酸球性浸潤を伴う尿細管間質性腎炎
(HE x40
病理例②
壊死性血管炎(中型血管炎様)
(HEx40)

IgG4陽性形質細胞を伴う間質性腎炎
 
ちなみANCA関連血管炎とIgG4関連疾患のオーバーラップらしき報告も少数あるため注意(Immunol Res. 2022;70(4):550-559.)
 
◎IgG4関連疾患における好酸球増多
  •  2019年のACR/EULAR分類基準では、好酸球>3000/μLは厳密には除外基準
    •  
  • ただ好酸球数が多くてもIgG4関連疾患と考える報告自体は存在する
    • 症例報告)79歳女性、好酸球増多・間質性腎炎→二次性好酸球増多症を伴うIgG4関連疾患と診断(Modern Rheumatology Case Reports, Volume 8, Issue 2, July 2024, Pages 329–338,)
  • IgG4関連疾患の重症度との関連については不明

 

 

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