2024-08-28 慢性腎臓病患者における痛風管理 腎臓 痛風/偽痛風 Johnson RJ, Mandell BF, Schlesinger N, et al. Controversies and practical management of patients with gout and chronic kidney disease. Kidney Int. Published online July 20, 2024. doi:10.1016/j.kint.2024.05.033 尿酸はCKD進行で上昇することが知られており、痛風は心血管リスク上昇が起こる CKDGrade3の患者の11-24%に痛風が見られる一方で、腎機能正常の患者では痛風は少ない。 CKD患者における尿酸蓄積はCKDの合併症として心血管系リスク上昇を引き起こすため治療が必要だが。適切に治療されているのは4分の1以下とされる→腎臓専門医がCKDの主要合併症として痛風を積極的に管理する必要がある ◎CKD患者における尿酸値の評価 ◎急性痛風フレアの管理 ◎痛風フレアの治療・予防に対してのコルヒチン投与 ◎痛風慢性期への対応 ◎CKD患者における尿酸値の評価 基本的には痛風の有無をまず確認→痛風のない無症候性高尿酸血症の場合、生活指導が基本となる ※日本のCKDガイドライン2023では、「高尿酸血症を有するCKD患者に対する尿酸降下療法は腎機能悪化を抑制する可能性があり、行うことを考慮してもよい」とされるが、欧米ではエビデンスが乏しく治療は推奨されていない。 尿pHは6-7が望ましく、尿管結石予防として尿中アルカリ化薬(クエン酸塩、ウラリット®など)を考慮…K負荷には注意 ◎急性痛風フレアの管理 CKD患者であっても急性期の治療の基本はコルヒチンのon demand投与 NSAIDsは腎機能低下のリスクがあるため、CKD患者には非推奨 CKD患者の場合、コルヒチンは過剰蓄積に注意が必要(腎不全の場合コルヒチン半減期は2-3倍になる) ステロイドは一般的に使用できる IL-1阻害薬のアナキンラも有効だが未承認である(日本では未承認) ◎痛風フレアの治療・予防に対してのコルヒチン投与 痛風フレアへの予防 軽度(推定Ccr 50-80ml/min)〜中等度(Ccr 30-50ml/min)の腎機能障害患者…痛風再燃予防のためには、推奨用量の調節は必要ないが、コルヒチンの副作用がないか患者を注意深くモニターすべき 重度腎機能障害のある患者…コルヒチン開始用量は0.3mg/日とし、投与量の増加は厳重なモニタリングが必要 痛風フレアの治療 軽度〜中等度の腎機能障害患者…投与用量の調節は必要ないが、コルヒチンの副作用がないか注意深く観察すべき 重度腎機能障害のある患者…投与用量の調節は必要ないが、治療コースの繰り返しは2週間に1回以下であるべき 繰り返し治療コースが必要な場合、代替療法を考慮すべき 透析を受けている患者に対しては、痛風再燃の治療に推奨される総量を0.6mgの単回投与量に減らすべきである。また治療コースの繰り返しは2週間に1回以下であるべき コルヒチンによる痛風フレアの治療は、コルヒチンを予防内服している腎障害患者には推奨されない ◎痛風慢性期への対応 長期目標は血清尿酸値6 mg/dLを維持し、痛風フレアを抑制する 寛解期には尿酸降下薬を使用する…アロプリノールが第一選択薬、フェブキソスタットは腎機能低下時の代替薬 腎機能に応じた減量が必要だが、目標値が達成できない場合は増量も検討される ペグロチカーゼは重度の痛風に使用できる(日本では未承認) ※腎機能に応じたアロプリノール推奨使用量(高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版より) 腎機能 アロプリノール用量 Ccr>50 100-300mg/d Ccr 30-50 100mg/d Ccr≦30 50mg/d 血液透析施行例 透析終了後100mg 腹膜透析施行例 50mg/d