膠原病・リウマチ一人抄読会

膠原病内科の勉強・アウトプットのため、読んだ論文等を投稿していく予定です。間違いがあれば遠慮なくご指摘ください。個別症例相談には応じられませんのでご了承ください。

SGLT2阻害薬とリウマチ性疾患

SGLT2阻害薬は糖尿病への薬剤というだけではなく、心疾患・腎疾患への有用性が報告されている。さらには痛風などのリウマチ性疾患への有用性も報告され続けており、最近の論文をまとめてみた。
おそらくは痛風の一次予防・二次予防ともに有用。膠原病腎には有望だが、まだ不透明な部分が多い

痛風

SGLT2阻害剤は、2型糖尿病患者の血清尿酸値を低下させ、痛風のリスクを低下させる 
カニズム…尿酸排泄の増加、尿酸再吸収の減少、抗炎症効果

痛風一次予防

  • メトホルミン単剤治療中の2型糖尿病患者へのSGLT2阻害薬追加vsSU剤追加(JAMA Intern Med. Published online April 15, 2024. doi:10.1001/jamainternmed.2024.0376)
    • SGLT2阻害薬はSU薬と比べ、新規痛風発症リスクを38%、再発率を33%低下
    • 心血管イベント・心不全リスクも低下

痛風二次予防

  • 2型糖尿病痛風の両方合併した患者へのSGLT2阻害薬追加vsDPP-4阻害薬追加(Ann Intern Med. 2023;176(8):1067-1080. )
    • SGLT2阻害剤投与は、DPP-4阻害剤と比較して痛風再燃率が低い
    • 救急受診・入院、心筋梗塞リスクも低下する
  • 糖尿病有無にかかわらずSGLT2阻害薬使用した患者の血清尿酸値解析(Ther Adv Chronic Dis. 2022;13:20406223221083509.)
    • 糖尿病有無にかかわらずSGLT2阻害薬使用した患者において、血清尿酸値は低下する
    • 非糖尿病患者・非CKDでは低下値が大きい
ただ血清尿酸値を下げることが痛風の予防にどれほど意味があるか(一次予防)、わかっていない部分がある点には注意が必要
◎偽痛風(CPPD)
SGLT2阻害剤についての言及は現状なし
 

膠原病

蛋白尿陽性CKD患者におけるSGLT2阻害薬の有用性はDAPA-CKD等で立証されている(N Engl J Med. 2020;383(15):1436-1446.)。ただ臨床試験では膠原病腎は除外されている
→現状膠原病腎へのSGLT2阻害薬の有用性は不透明な点が多い。。膠原病腎にもかなり有望であると思われる。
  • おそらくは腎炎後の残存したCKDに対しては有用と思われるが、腎炎そのものに有用かどうかまでは不明
 

◎ループス腎炎

KDGIOガイドラインにおいて、CKD管理として以下の言及あり(Kidney Int. 2024;105(Suppl 1S):S1-S69.)
  • 減塩食、血圧最適化
  • AKIのない安定した患者への腎保護薬…RAS遮断薬、SGLT2阻害薬
  • 腎毒性障害の回避
  • AKIの予防
EULAR推奨には言及は現状ないが、データは出つつある→患者と相談の上検討する(Ann Rheum Dis. Published online April 5, 2024. doi:10.1136/ard-2024-225563)
  • マウスレベルでの有用性報告・ケースレポートレベルではいくつか存在する
  • 第Ⅰ/Ⅱ相試験では38例中8例で投薬中止に至った有害事象あり、注意(RMD Open. 2022;8(2):e002686.)
 

◎ANCA関連血管炎

  • 現状ループス腎炎以上にデータなし