Dupilumab(デュピクセント®)はIL-4,13阻害薬で、2023年現在アトピー性皮膚炎・気管支喘息・鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎に適応が通っている。このためリウマチ科以外(呼吸器内科・皮膚科・耳鼻科)で頻用されるバイオ製剤となるが、なぜかリウマチ科にコンサルトが来るような副作用が起こる。…好酸球増加症・関節炎など
添付文書的には副作用は以下の通り
①関節炎
付着部炎・関節炎の報告が多い。大体はNSAIDs内服・Dupiluab休薬で改善する。仮説レベルだが、IL-4・IL-13の急激な低下→IL-17/23といった付着部/関節サイトカイン増が原因とされる。
◎Dupilumab使用中の筋骨格症状患者26名の解析(Arthritis Rheumatol. 2023;75(10):1793-1797.)
- 全患者はデュピルマブ治療に対して非常に良好な反応を示し、筋骨格症候群の特異的な予測因子なし。
- 症状…16人軽度、6人中等度、4人重度
- NSAIDs投与、Dupilumab用量/投与間隔減少・治療中止により改善が見られましたが、中等度または重度の場合遷延することがある
図:Dupilumab使用中のアキレス腱炎。休薬でも改善せず、Secukinumab投与したが無効→Baricitinibで改善(Rheumatology (Oxford). 2022;61(3):e64-e66.)
②好酸球増多
Dupilumab投与後の好酸球増多は比較的多く、一過性のことが多い
ただ非常に稀だが好酸球増多に伴う症状発生報告もある…Expert Rev Respir Med. 2022;16(7):713-721.
矛盾しているようだが、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)に対してのDupiluabの臨床試験もある…頭頚部症状にはある程度有効だが、1/3は再発し、好酸球増多が先行する(Ann Rheum Dis. 2023;ard-2023-224756.)
③皮疹
アトピー性皮膚炎の薬剤ではあるが、逆説的に皮疹が出現する場合がある。特に報告が多いのは、頭頚部の紅斑。ただし、元々の皮疹が悪化しているだけの場合も含まれていると思われ、鑑別は困難
◎Dipilumab誘発性皮疹についての系統的レビュー(J Am Acad Dermatol. 2021;84(5):1339-1347.)
④治療
定まった治療は無く、対症療法的になることが多い。注意すべき点としては、軽症例が多いこと、好酸球増多は一過性が多いことだろう。
という対応になると思われる。