筋肉には豊富な血管があり、血管炎病変になることが偶にある。まとまった報告はなかったが、自分なりにまとめてみた
ポイント
【疫学】
頻度についてはデータなく不明。
◎血管炎種類
- 大血管炎(高安動脈炎、巨細胞性動脈炎)…ごく少数報告
- 中型血管炎(結節性多発動脈炎:PAN、川崎病)
- 小型血管炎(多発血管炎性肉芽腫症:GPA,顕微鏡的多発血管炎:MPA,好酸球性多発血管炎性肉芽腫症:EGPA,クリオグロブリン血症,IgA血管炎,抗C1q血管炎)
- その他血管炎(Cogan,ベーチェット病)
- 単臓器血管炎
と様々報告あるが、比較的報告が多いのはPAN、MPA(Autoimmun Rev. 2022;21(3):103029.)
【診断】
罹病部位としては両側大腿or下腿の報告が多い。両下腿痛+発熱・体重減少→筋生検で確定診断というのが典型的。
◎血液検査
- 筋炎の場合CKが上昇することが多いが、血管炎の場合通常正常値なことが特徴。
- 炎症反応上昇・白血球増多があるが、非特異的
- その他採血としてANCA、筋炎関連抗体などをスクリーニング
◎MRI
MRI…筋内のT1Gd高信号、T2高信号(Ann Rheum Dis. 2007;66(4):554-556.)
- パターンは3つに分かれる… diffuse, patchy, fluffy nodular(AJR Am J Roentgenol. 2016;206(2):378-384.)
- これらに加えて筋膜病変がある場合、PANらしさが高くなる
-
diffuse(びまん性):
罹患筋全領域に信号変化patchy(斑状):
正常筋肉内の高信号fluffy nodular:
血管周囲に綿ウール状の円形高信号
(造影MRI)
◎筋生検
ANCA関連血管炎による筋炎病理…筋内腔の閉塞・周囲血管壁の炎症・フィブリノイド壊死(Neurol Neuroimmunol Neuroinflamm 2017;4:e365;)
PANの場合でも同様所見が多い(フィブリノイド壊死、血管壁弾性繊維の破壊)が、中型血管炎が中心となることが特徴(Intern Med 55: 3197-3200, 2016)
→病理的にどのサイズの血管が罹患しているのかを把握することが重要
【治療】
- ANCA関連血管炎の場合、推奨通りの治療を実施する…高用量ステロイド+RTX or IVCY