Arthritis Rheumatol. 2021;10.1002/art.41773.
ANCA関連血管炎に対してのACR(アメリカリウマチ学会)からの最新推奨
1.多発血管炎性肉芽腫症(GPA)・顕微鏡的多発血管炎(MPA)
2.好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)
参考:以前のレビュー
①GPA・MPAマネジメント推奨・声明
推奨・声明
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エビデンスレベル
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高活動性重症疾患への寛解導入
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非常に低い〜中
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低〜高
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低〜高
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非常に低い〜中
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非常に低い〜中
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高活動性非重症疾患への寛解導入
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高活動性非重症GPA患者には、CYC・RTXよりもMTXによる治療開始を条件付きで推奨
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常に低い〜中
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低
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低
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低
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寛解維持
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非常に低い〜中
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非常に低い〜低
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非常に低い〜中
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非常に低い〜低
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非常に低い〜低
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低〜中
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非常に低い
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低〜中
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低〜中
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再発治療
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低
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非常に低い
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難治例の治療
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非常に低い
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低〜中
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副鼻腔・気道・腫瘤性病変の治療
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非常に低い〜低
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鼻中隔欠損症・鼻梁崩壊のある寛解期GPA患者には、患者の希望に応じて、再建手術を条件付きで推奨
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低
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声門下・気管支内の組織に炎症があり、狭窄があるGPA患者には、病変内ステロイド注射のみでの外科的拡張よりも免疫抑制療法による治療を条件付きで推奨
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低
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腫瘤性病変(眼窩偽腫瘍、耳下腺・脳・肺腫瘤など)のあるGPA患者には、免疫抑制療法+腫瘤病変の外科的切除よりも、免疫抑制療法による治療を条件付きで推奨
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非常に低い〜低
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その他の考慮事項
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非常に低い
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RTXまたはCYCが投与されているGPA患者には、ニューモシスチス肺炎予防を条件付きで推奨
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低
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低
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他の免疫調整療法を受けることのできない活動性GPA/MPA患者には、IVIG投与を条件付きで推奨
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低
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非常に低い
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- ステロイドの減量投与・血漿交換等に関してはPEXIVAS trialの結果が主に反映されている…
- 寛解導入に関しても維持に関しても、かなりRTX推しになった印象(導入:RTX>CYC、重症例の維持RTX>MTX/AZA)
- ただ一方でMAINRITSAN2(Ann Rheum Dis 2018 ; 77:1143 - 9)の影響も色濃く受けており、維持療法でのRTX6ヶ月定期投与についてはあまり言及せず、ANCA・CD19+B細胞を見てのon_demand投与についての言及が多い印象だった。
- いつものことだが、日本に多い高齢者MPAというよりも欧米の再発しやすいGPAをメインターゲットとした推奨であることには注意が必要。
②EGPAマネジメント推奨・声明
推奨・声明
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エビデンスレベル
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高活動性重症疾患への寛解導入
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非常に低い
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高活動性重症EGPA患者には、寛解導入としてCYCまたはRTXのどちらかが投与される場合がある
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非常に低い
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高活動性重症EGPA患者には、寛解導入としてCYCよりもRTXの投与を条件付きで推奨
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低
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高活動性非重症疾患への寛解導入
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非常に低い〜低
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低
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非常に低い〜低
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寛解維持
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非常に低い
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非常に低い
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EGPAでのステロイド治療期間は、患者の臨床経過・価値観・好みを考慮して決定するべき
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非常に低い〜低
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再発治療
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非常に低い
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非常に低い
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非常に低い
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非常に低い
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非常に低い
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その他の考慮事項
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ロイコトリエン阻害剤投与中にEGPAと新規診断された患者には、ロイコトリエン阻害薬中止よりも継続を条件付きで推奨
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非常に低い
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ロイコトリエン阻害薬の使用は、活動性喘息・副鼻腔疾患を伴うEGPA患者には禁忌ではない
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非常に低い
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EGPA患者には、診断時に心エコーを行うことを条件付きで推奨
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非常に低い
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EGPA患者には、治療指針としてFive-Factor Score※を使用することを条件付きで推奨
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非常に低い
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非常に低い
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RTXまたはCYCが投与されているEGPA患者には、ニューモシスチス肺炎予防を条件付きで推奨
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低
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※Five-Factor Score…EGPAの予後因子。蛋白尿(>1g/day)、消化器症状、腎機能障害(Cre>1.58mg/dL)、中枢神経障害、心筋症で構成(Medicine (Baltimore). 1996;75(1):17-28.)
- 重症にはRTX、それ以外にはMEPの立ち位置が全体的に大きくなった印象
- 重症→RTX,CYC、それ以外MEP>他DMARDs
- メポリズマブ(ヌーカラ®)の自己注射も発売されたこともあり、非重症EGPA患者へのMEPの適応症例が増えそうではある
- 診断時心エコー推奨も追加となった