膠原病・リウマチ一人抄読会

膠原病内科の勉強・アウトプットのため、読んだ論文等を投稿していく予定です。間違いがあれば遠慮なくご指摘ください。個別症例相談には応じられませんのでご了承ください。

SAPHO症候群の診断・画像所見

Rheum Dis Clin North Am. 2016;42(4):695-710.
J Child Orthop (2015) 9:19–27
 
SAPHO症候群(Synovitis-Acne-Pustulosis-Hyperostosis Osteitis:滑膜炎、痤瘡、膿疱症、骨硬化、骨炎)は、胸部・鎖骨を中心とした硬化性/肥大性骨関節病変が特徴となる疾患である
雑多な疾患の寄せ集めであるが、特に脊椎関節炎が近く、前胸壁・脊椎・仙腸関節・付着部炎を伴う末梢関節炎が特徴的である。
  • ◎診断について
  • ◎SAPHO症候群と考えられる患者群
  • ◎画像所見
    • X線写真
    • ②CT
    • MRI
    • ④骨シンチグラフィー
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リウマチ性疾患患者の予防接種に関するガイドライン改訂(ACR)

米国リウマチ学会(ACR)からのリウマチ性疾患患者へのワクチン推奨改訂。日本の臨床現場に応用しにくい部分もあるが紹介。
参考にはなるが推奨としては弱く、そのまま適応するのは難しい。
 
  • 【ワクチンの接種対象・推奨】
  • 【非生ワクチン投与時の免疫抑制剤休薬について】
  • ステロイド内服患者に対して非生ワクチン投与を実施すべきか?】
  • 【生ワクチン接種時の免疫抑制剤
  • 【胎内で免疫抑制剤に暴露した乳児への弱毒化ロタウイルスワクチン接種の時期】
  • 【補記:MTX休薬に関してのエビデンス
    • SARS-CoV2ワクチンについて
    • ●インフルエンザワクチンについて
    • ●結局MTXをどうするのか?
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難治性ループス腎炎治療へのエキスパートオピニオン

Arthritis Rheumatol. 2022;74(6):915-926.
 
全身性エリテマトーデス(SLE)の臓器病変といえば、ループス腎炎(LN)だが、難治例も多々見られる。その治療に関してのエキスパートオピニオン。

【ポイント】

  • 治療を行って反応がなければ「難治性ループス腎炎」というのは言い過ぎで、本当に難治性なのかどうか判定する必要がある
  • アドヒアランスと薬剤投与量が適正かどうかの判定を行い、問題なければ治療強化(Belimumab導入など)を行う
  • その治療強化でも反応がなければ、再度アドヒアランスと薬剤投与量が適正かどうかの判定を行い、問題なければ「難治性ループス腎炎」と判断して治療を変更する
  • 難治性ループス腎炎の場合、まずRituximab投与を考える
  • Rituximab投与でも反応がない場合の治療に関するデータは非常に限られているが、選択肢は増えている
  • 【ポイント】
  • 【Background】
  • 【アプローチ】
    • ①難治性ループス腎炎の診断
    • ②難治性ループス腎炎の治療
    • ③薬剤の選択
      • ◎リツキシマブ(RTX)
      • ◎その他
  • 参考:その他疾患のエキスパートオピニオン
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臨床型別の特発性炎症性筋症の治療

Best Pract Res Clin Rheumatol. 2022 Jun 28:101762.
特発性炎症性筋症(IIM)は、皮膚筋炎(DM)・免疫介在性壊死性筋症(IMNM)・封入体筋炎(IBM)といった様々な病型がある。
臨床型別での治療オプションの紹介があったので紹介
 

※HCQ:ヒドロキシクロロキン、AZP:アザチオプリン、MTX:メトトレキサート、MMF:ミコフェノール酸モフェチル、IVIG:ヒト免疫グロブリン静注投与、RTX:リツキシマブ、CyC:シクロホスファミド、Tac:タクロリムス、CyA:シクロスポリン、RP-ILD:急速進行性間質性肺疾患
 
参考

ctd-gim.hatenablog.com

 

  • ①皮膚筋炎(DM)
    • ◎治療オプション
  • ②抗ARS症候群
    • ◎治療
  • ③免疫介在性壊死性筋症
    • ◎治療
  • ④封入体筋炎
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ピロリン酸カルシウム結晶沈着症/偽痛風の関節エコー

ピロリン酸カルシウム結晶沈着症(Calcium pyrophosphate deposition disease,以下CPPD)は、高齢者の関節炎としては非常にコモンな疾患ではあるが、その診断・マネジメントともに非常に難しい。
関節穿刺によるピロリン酸カルシウムの同定が最も有用だが、手指・手関節のような小関節では穿刺が困難なことが多い。
X線で石灰化像があれば診断に結びつくが、必ずX線所見があるわけではない
  • CPPD診断精度の研究(Clin Exp Rheumatol.2016;34(2):254-260.)
    • エコーの感度96%・特異度87%,X線の感度75%・特異度93%,滑液分析感度77%・特異度100%→エコーのほうがX線より感度は高い?
そういうときの助けになるのが関節エコーだが、痛風同様様々な所見を取る
あまりまとまった記載がどこにもなかったので、まとめてみた。うまく使えば慢性CPPDの診断に繋がりそうだが、非特異的な所見が多いので注意が必要。

ctd-gim.hatenablog.com

 

  • 【CPPDのエコー所見】
  • 【各部位での研究】
    • ①膝
    • ②手指関節
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75歳以上のANCA関連血管炎へのRituximabの有効性・安全性

ANCA関連血管炎(AAV)へのRituximab(RTX)はkey-drugと化しており、RTXを使うことができればステロイド用量を大幅に削減できることがわかっている。一方で75歳以上への適応は不明な部分があり、RTX使用をためらうシーンは多々ある。
それに関してJAMAに報告(JAMA Netw Open. 2022;5(7):e2220925.)があったので、最近のトレンドを紹介しつつまとめてみた。
 
結論的には、75歳以上でもRTXはステロイド漸減効果・寛解導入・維持効果があるものの、重篤感染症に注意が必要
参考:

ctd-gim.hatenablog.com

ctd-gim.hatenablog.com

 

  • ガイドラインにおけるAAVに対してのRTX】
    • ◎まとめ
  • 寛解導入におけるRTX併用時のステロイド用量】
    • ◎まとめ
  • 【75歳以上へのRTXの有効性・安全性は?】
    • ◎Method
    • ◎Result
    • ◎Discussion
    • ◎感想
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GRAPPA乾癬性関節炎(PsA)ガイドライン2021

Coates, L.C., Soriano, E.R., Corp, N. et al. Group for Research and Assessment of Psoriasis and Psoriatic Arthritis (GRAPPA): updated treatment recommendations for psoriatic arthritis 2021. Nat Rev Rheumatol (2022). https://doi.org/10.1038/s41584-022-00798-0
乾癬性関節炎(PsA)の推奨としてはEULAR・ACRの他、乾癬研究の国際団体GRAPPA(Group for Research and Assessment of Psoriasis and Psoriatic Arthritis)からのものもあり、ドメイン別になっているので参考となる。
その治療推奨が2015年以来に改訂された。
 
主な変更点として以下が挙げられる
  • JAK阻害薬が推奨に新規登場
  • IL17i、IL23i、および JAKi を複数のカテゴリで強く推奨(NSAIDsの次はどれでも良くなった)
    • 標準的な「ステップアップ」アプローチだけでなく、迅速な治療強化も推奨に入った
  • PDE4i の推奨事項は、付着部炎、指炎、爪の PsOに拡大
  • 「治療は患者固有のドメインを中心に行い、意思決定の共有を重視する」という一文が強調された
  • IBDぶどう膜炎カテゴリが新規追加
正直治療方針を変えるようなものでもないが、まとまって見やすいので紹介。
  • ◎PsAに対しての治療薬推奨一覧
  • ◎PsA治療スキーム
  • ◎合併症がある場合のPsA治療薬推奨
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