ピロリン酸カルシウム結晶沈着症(Calcium pyrophosphate deposition disease,以下CPPD)は、高齢者の関節炎としては非常にコモンな疾患ではあるが、その診断・マネジメントともに非常に難しい。
関節穿刺によるピロリン酸カルシウムの同定が最も有用だが、手指・手関節のような小関節では穿刺が困難なことが多い。
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一滴でも取れれば鏡検で診断可能
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参考:多摩総合医療センターからの解説
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そういうときの助けになるのが関節エコーだが、痛風同様様々な所見を取る
あまりまとまった記載がどこにもなかったので、まとめてみた。うまく使えば慢性CPPDの診断に繋がりそうだが、非特異的な所見が多いので注意が必要。
【CPPDのエコー所見】
CPPDが腱炎・滑膜炎・滑液包炎すべて起こしうるため、様々な所見をとる
国際関節エコー研究グループOMERACT(Outcome Measures in Rheumatoid Arthritis Clinical Trial)のアトラスが役に立つ
表:CPPDのエコー所見まとめ(Ann Rheum Dis. 2018;77(8):1194-1199.)
※OMERACTグループでの訓練を実施→膝半月板/硝子軟骨・手関節三角線維軟骨に関しては一致率高かったが、ほかは一致率低かった
大まかには以下の3つが多い(Ann Rheum Dis. 2005;64(4):638-640.)
【各部位での研究】
①膝
硝子軟骨・線維軟骨・腱・滑膜どのパターンも起こる
感度86.7%、特異度96.4%という報告あり(Ann Rheum Dis. 2007;66(8):1126-1128.)
表:膝CPPDの超音波画像(Ann Rheum Dis. 2007;66(8):1126-1128.)
②手指関節
表:手指MCP関節CPPDの超音波画像(Rheumatology (Oxford). 2022;keac063.)
最大の鑑別はRA。
MCP関節におけるエコー所見をCPPD患者・RA患者と比較した研究(Rheumatology (Oxford). 2022;keac063.)
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CPPD<RA…骨びらん、パワードップラー高信号、滑膜肥厚
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ただしRA患者でもピロリン酸カルシウム結晶沈着のようなCPPD様所見自体は非特異的に見られるため注意