CPPD(偽痛風)のレビュー
"Calcium Pyrophosphate Deposition Disease" N Engl J Med 2016; 374:2575-2584
サラッと要点まとめ。
【特徴】
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単・少関節によく起こる
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分布としては1位膝・2位手関節
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特徴は変形性関節症(osteoarthritis:OA)に似る
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ただOAは肩甲骨・手関節・MCPには少なく、鑑別に使える
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また鑑別としてRAがある
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RAと違って罹患関節に対称性があることは少ない
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ベースに軟骨石灰化症があることが多く、これがあるとCPPDリスクは上がる
【病理】
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軟骨細胞からの無機ピロリン酸産生→炎症惹起が原因?
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まだよくわかっていない
【疫学】
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欧米成人の4-7%がCPPDに罹患している
【リスク】
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60歳以上に好発する
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外傷(特に膝・半月板損傷)
- OA
- 内分泌疾患:高カルシウム血症、副甲状腺機能亢進症
- ヘモクロマトーシス…PTH産生過剰になる
- 低Mg血症…Bartter/Gitelman症候群
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→60歳以下でCPPDが見つかった場合、代謝疾患スクリーニングが必要
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スクリーニング:Fe/トランスフェリン/フェリチン、Ca、ALP、PTH
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重症疾患
- 術後…特に副甲状腺切除後、股関節手術後に多い
- 軟骨石灰化症
【家族性CPPD】
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散発的ではあるが遺伝子関連でのCPPDあり
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→60歳以下は家族歴聴取
【診断】
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関節穿刺及び偏光顕微鏡でピロリン酸カルシウム結晶確認が確定診断
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関節細胞数はあまり関係ない
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X線で軟骨石灰化を確認することも重要だが、臨床的に関節炎がないならば診断に寄与しない(単なる軟骨石灰化症の可能性あり)
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エコーで軟骨石灰化を確認するのも手
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Crowned-dens-syndromeは頚椎CTで診断する
【治療】
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第一選択は関節ステロイド注射
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できないならコルヒチン0.6-1.2mg/day
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コルヒチン使えないならNSAIDs+PPI
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NSAIDs使えないならPSLを10mg以下の低用量で開始
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PSL使えないならヒドロキシクロロキン(プラケニル)200-400mg/day
- 使えないならMTX10-25mg/week
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これらで無効or使えないならインターロイキン-1β阻害薬または複合的な治療を用いる
(感想)
非常によくまとまっていて読みやすいreviewでした。治療の流れは上記の通り、(できる限り)関節穿刺→感染を否定・CPPDを確定させる→ステロイド注射というのが理想的。しかし、感染を否定するまで治療を待てない/待つ必要がない、ということでコルヒチン/NSAIDsを使うことが多い印象。なかなか根の深い話ではある。