膠原病・リウマチ一人抄読会

膠原病内科の勉強・アウトプットのため、読んだ論文等を投稿していく予定です。間違いがあれば遠慮なくご指摘ください。個別症例相談には応じられませんのでご了承ください。

関節リウマチとANCA関連血管炎のオーバーラップ

関節リウマチ(RA)とANCA関連血管炎(AAV)も頻度が多く、RAにおけるANCA陽性・AAVにおけるリウマトイド因子(RF)陽性はよく見る印象。ただその意義はいまいちわかっていない。
RA・AAV両方を合併、 AAV患者におけるRF陽性、RA患者におけるANCA陽性 の3つについて調べてみた。
 
大した文献はなかったがまとめると
  1. RA・AAV両方を合併…RA診断治療後にAAVを発症する例が多く、MPA・腎炎合併例が多い。治療はRituximabがよい?
  2. AAV患者におけるRF陽性…AAVの39.1%でRF陽性、症状・臨床的特徴との相関はないとする報告もあれば重症になるという報告もある
  3. RA患者におけるANCA陽性…p-ANCAが14.5%で陽性、死亡率との相関なし

①RA・AAV両方を合併

頻度は全く不明だが、両方が合併したという症例報告は多々ある(Int J Rheum Dis. 2017;20(11):1843-1847, Autoimmunity. 2012;45(4):304-309.など)
 
探す限り一番大きな報告は47例の報告(北京連合医科大学病院の15例+文献報告の32例)(BMC Nephrol. 2022;23(1):155.)
◎患者の臨床的特徴
  • 多くはRA診断後にAAVを発症していた(83%)
  • 大半は顕微鏡的多発血管炎(MPA)で、多発血管炎性肉芽腫症(GPA)は少数
  • 臓器病変…最多は腎臓、次いで肺・皮膚
    • 腎障害…血尿、中等度蛋白尿、腎機能低下が多い
  • 治療はステロイド+シクロホスファミドが多い
 
◎RAの有無によるMPA患者の臨床的特徴の違い

  • RA・MPA合併例では、MPA診断時に無症状が多く発熱は少ない
  • その他は有意差なし
  • 腎生検結果も有意差なし
 
治療としてはRA・AAV両方に効果が実証されているRituximabが良いかもしれない(Autoimmunity. 2012;45(4):304-309.)
※日本ではRAへのRituximabは保険適応外
 

②AAVとRF陽性

韓国AAV患者128人の解析(Clin Rheumatol. 2018;37(10):2771-2779.)
  • AAV患者のRF偽陽性率は39.1%MPA 42.0%、GPA 34.5%、EGPA 36.7%)
    • AAVのサブタイプとRF陽性との間に相関はない
  • 単変量解析…RF偽陽性と関連していたのは全身症状、皮膚・粘膜・眼症状、MPO-ANCA陽性
  • 多変量解析…EGPA患者における皮膚症状と相関
  • RF陽性有無とAAV無再発生存期間とは関連しない
 
RF陽性AAV患者は炎症マーカー高値・AAV重症化と関係するという報告もある(BMC Immunol. 2017;18(1):53.)
 

③RAとANCA陽性

604人のRA患者の解析(J Rheumatol. 2005;32(11):2089-2094.)
  • RA患者604名のうち、p-ANCAは14.5%が陽性
  • 死亡率等との関連はなかった

 

参考

 

ctd-gim.hatenablog.com

 

ctd-gim.hatenablog.com