膠原病・リウマチ一人抄読会

膠原病内科の勉強・アウトプットのため、読んだ論文等を投稿していく予定です。間違いがあれば遠慮なくご指摘ください。個別症例相談には応じられませんのでご了承ください。

関節リウマチにおけるTocilizumab投与とCRPの関係性

Ann Rheum Dis. 2020;79(7):874-882.
Tocilizumab(TCZ)は抗IL-6受容体抗体で、投与するとCRPがほぼ0になる特性がある。ただ、CRPが低下することとRAが改善することの関連はよくわかっていない。その関連について調べた研究は3つあったが、最もデータが集まっていて興味深かった論文を簡単にまとめてみた。
4つの大規模臨床試験の解析
患者群:TCZ群(点滴投与8mg/kg)(1126人)
比較群:Methotrexate(MTX)投与群(249人)・Rituximab(RTX)投与群(250人)
Outcome:腫脹圧痛関節・CRP・ESR・患者/医師VAS評価、CDAIによる寛解達成率、CRPの推移
 

◎Result

  • ベースラインのCRPと臨床転帰の間に有意な相関はない(CRPが高いから難治性というわけではない)
  • Tocilizumab投与後4週時点のCRP低下が弱い(<20%)場合、寛解達成率が低くなる
    • MTX・RTX群はCRP低下と寛解達成率に相関なし
  • ベースラインでCRPが高い(>4mg/dL)患者の場合、TCZがMTX・RTXよりも効果が高い傾向がある
 

◎感想

  • CRPが高いRAにはTCZが効きそう」というのは間違いではないかもしれない
  • CRP陰性のRAにTCZを入れる気分にはあまりならないが、それを支持する論文は見つからなかった
  • CRP低下率が高い患者ではTCZが効く可能性が高いというのは、正直あまり実感がない。CRPが陰転化して滑膜炎が残る患者は結構いる印象だが…
    • 本論文とは逆にCRPの低下と寛解達成率は相関なしとする研究もある(Arthritis Care Res (Hoboken). 2016;68(6):882-885.)
    • TCZ一次無効患者ではCRP全く低下しないことが多い印象には当てはまっている