膠原病・リウマチ一人抄読会

膠原病内科の勉強・アウトプットのため、読んだ論文等を投稿していく予定です。間違いがあれば遠慮なくご指摘ください。個別症例相談には応じられませんのでご了承ください。

ANCA関連血管炎維持療法のRTXの指標はANCAとB細胞数どちらが良いか?(MAINTANCAVAS study)

 
ANCA関連血管炎の維持療法はリツキシマブ(RTX)がスタンダードだが、最適使用はわかっていない。
MAINTRITSAN2 trialで示されているように、RTX投与の方法としては主に
・ルーチン投与…6ヶ月に1回
・on demand投与…CD19陽性B細胞数上昇 or ANCA力価上昇でRTXを投与
の2種類があり、差はないということになっている(Ann Rheum Dis. 2018;77(8):1143-1149.)
 
B細胞数上昇 or ANCA力価上昇 どちらを指標にしたほうがいいのか?ということが調べられた。
…MAINTenance of ANCA VASculitis study (MAINTANCAVAS)
 
CQ:ANCA関連血管炎の維持療法としてのRTX投与タイミングはB細胞数上昇 or ANCA力価上昇 どちらを指標にしたほうがいいのか?
SA:B細胞数上昇を指標にしたほうが臨床的再発が少なかった
  • 【Method】
  • ◎結果
  • ◎感想
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壊疽性膿皮症+全身症状:PAPA,PASH,PAPSH症候群

Am J Clin Dermatol. 2017;18(4):555-562.
 
壊疽性膿皮症(Pyoderma gangrenosum: PG)は通常皮膚潰瘍症状として出現するが、全身症状を起こす一群がいる。自然免疫機能障害に伴う自己炎症スペクトラム疾患的な患者群がおり、それぞれPAPA,PASH,PAPASH症候群と呼ばれる
主にはIL-1βの過剰発現が原因。たまにリウマチ性疾患との合併例があり、壊疽性膿皮症+ざ瘡+リウマチ性疾患合併例では疑ったほうがよい。
  • ①症候群の分類
  • ②PAPA症候群…PG+化膿性関節炎、ざ瘡
  • ③PASH症候群…PG+ざ瘡、膿疱性汗腺炎
  • ④PAPASH症候群…PG+化膿性関節炎、ざ瘡、膿疱性汗腺炎
  • ⑤治療

 

SLE合併妊娠のエキスパートオピニオン(ACR)

Tarter L, Bermas BL. Expert Perspective on a Clinical Challenge: Lupus and Pregnancy. Arthritis Rheumatol. Published online November 17, 2023. doi:10.1002/art.42756
 
ACRのエキスパートオピニオンシリーズ。
●ポイント
  • SLE合併妊娠はSLEフレア・母体胎児イベントのリスクが依然高い
  • 妊娠前にSLEコントロール・妊娠可能な薬剤への変更・HCQ継続を行う
  • APSSSA,SSB抗体陽性の場合、別途リスクがある。APSに関しては抗血栓薬、SSA,SSB抗体陽性に関してはHCQが有効。
  • 子癇前症とループス腎炎の鑑別は難しいが、鑑別ポイントがある
  • ①アプローチ概要
  • ②禁忌薬剤
  • APSの管理
  • ④新生児ループスのリスク
  • ⑤妊娠モニタリング
  • ⑥子癇とループス腎炎の鑑別
  • ⑦妊娠中のSLEフレアへの治療
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二次性偽痛風の鑑別リスト

ピロリン酸カルシウム結晶沈着症(CPPD、偽痛風)のリスクとしては加齢・変形性関節症(OA)・過去の関節外傷・薬剤(利尿薬など)が有名だが、特異的疾患・家族性のものもあり、いわゆる「二次性偽痛風」とされる
このため、60歳以下の偽痛風では二次性偽痛風スクリーニングとしてFe/トランスフェリン/フェリチン、Ca、ALP、PTH、Mgの採血が推奨される(N Engl J Med 2016; 374:2575-2584)
 
疾患 関連性 診断
ヘモクロマトーシス 男性:女性=9:1→男性に多い
トランスフェリン飽和度(TAST)↑
血清フェリチン値↑
副甲状腺機能亢進症 高Ca血症(正常例あり)
血清iPTH高値
尿中Ca/Cr値↓~→
血清25-OH VitD↑
痛風 血清尿酸値↑(正常例あり)
関節液結晶検査
マグネシウム血症 低Mg血症
低ホスファターゼ症 血清ALP低値、遺伝子検査
関節外傷 外傷歴、画像検査
遺伝性 遺伝子検査
 

シェーグレン症候群の診断精度向上へのアプローチ

Baer AN. IMPROVING THE DIAGNOSTIC APPROACH TO SJÖGREN'S DISEASE: A NINETY-YEAR QUEST. Arthritis Rheumatol. 2023;10.1002/art.42735. doi:10.1002/art.42735
 
SjD(シェーグレン症候群/シェーグレン病)の診断はなかなか難しい。
  • Sicca症状(腺症状)はSjDに限らず見られるものであり、非特異的なことが多い
  • SjDで陽性率の高い抗Ro/SSA抗体陰性例もある…抗セントロメア抗体陽性、Seronegative−SjD
  • EULAR/ACR分類基準も存在するが、あくまで研究用の分類基準であり、早期病変・病理所見への評価が不十分(Arthritis Rheumatol. 2017;69(1):35-45.)
  • 一方で確定診断のための唾液腺生検は患者負担も大きく、全例で行うべきではないとされている
 
→実践的な診断アプローチが提唱された。
腺症状の確認→腺病変の評価・SS-A/セントロメア抗体評価→抗体陰性例への唾液腺生検という流れ。

Dupilumabのリウマチ科的な副作用

Dupilumab(デュピクセント®)はIL-4,13阻害薬で、2023年現在アトピー性皮膚炎・気管支喘息・鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎に適応が通っている。このためリウマチ科以外(呼吸器内科・皮膚科・耳鼻科)で頻用されるバイオ製剤となるが、なぜかリウマチ科にコンサルトが来るような副作用が起こる。…好酸球増加症・関節炎など
  • ①関節炎
  • 好酸球増多
  • ③皮疹
  • ④治療
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