Ann Rheum Dis. 2022;annrheumdis-2021-221957.
ACR2021年推奨では
・中-高疾患活動性のDMARDs未使用患者では、短期ステロイド+csDMARDsよりもcsDMARDs単独を「条件付き推奨」
・長期(3ヶ月以上)ステロイド+csDMARDsよりもcsDMARDs単独を「強く推奨」
と「できる限りステロイドを使わない」ことを推奨している(Arthritis Care Res (Hoboken). 2021;73(7):924-939.)
一方でEULAR2019年推奨では
・csDMARDs開始・変更時、短期のステロイドを検討する必要があるが、可能な限り迅速に変更する必要がある
と「場合によってはステロイド使っても良い」ということになっている(Ann Rheum Dis. 2020;79(6):685-699.)
→2年間のプラセボ対照試験を行い、活動性RAの65歳以上の患者に対してのPSL5mg/day追加の有効性・安全性を評価した(GLORIA試験)
結論:65歳以上の活動性RA患者に対してのPSL5mg/day追加投与は疾患活動性・関節破壊進行抑制に対して有効であったが、有害事象は11%増加する
【Method】
医師主導の無作為化二重盲検プラセボ対照多施設共同プラグマティック試験でヨーロッパ7カ国28施設での多施設共同研究。
Patient…65歳以上の活動性RA患者
-
DAS28≧2.60
I/C…PSL5mg/day or プラセボに1:1割付→24ヶ月間評価
-
ステロイド使用歴・ベースライン時のRA治療変更歴・施設で層別化
Outcome
-
Primary outcome…DAS28
-
有害事象
-
特記すべき有害事象(AESI)を1つ以上経験した患者の総数
-
関節破壊の進行・骨粗鬆症の進行
【Result】
-
2016-2018年で患者451人を登録
-
患者背景
-
PSL群63%・プラセボ群61%が試験完了
-
有害事象…両群とも14%
-
活動性疾患…3%対4%
-
その他の理由(Covidパンでムック含む)…19%対21%
-
-
中止理由
◎Outcome
-
両群とも疾患活動性は最初の3ヶ月で低下し、1年後には安定
-
PSL群でDAS28 0.37点低下(95% CL 0.23、p<0.0001)
-
関節損傷の進行はもPSL群では1.7点低下(95% CL 0.7、p=0.003)
-
有害事象…PSL投与群で増加(PSL群60%、プラセボ群49%)
【Discussion】
-
65歳以上の活動性RA患者に対しての低用量PSL追加投与は疾患活動性・関節破壊進行抑制に対して有効であったが、有害事象は11%増加する
-
→有益性・有害性のバランスは取れている?
【感想】
-
試験見る限り低用量PSLは有効だが、その有効性は数ヶ月限定で関節破壊進行抑制効果も限定的ではある
-
より長期でみれば有害事象が多くなることが予想され、「短期的な有用性を大きく取れば使ってもいい」というところに落ち着くと思われる
-
ということで、短期的な鎮痛作用・抗炎症作用には期待していいと思われるが、長期的な作用・関節破壊抑制に関しては微妙で、有害事象にも注意が必要と思われる
-
個人的にはRAへの経口PSLは本当に最低限しか使っていないが、短期的かつ限られた条件(関節注射ができないなど)で渋々使う、ということの裏付けにはなると思われる