Arthritis Care Res (Hoboken). 2022;74(9):1399-1408.
変更点・重要な点は以下の通り
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csDMARDsは継続可
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生物学的製剤は、1サイクルスキップし+1週間あけて手術…4週おきの製剤なら、最終投与から5週間後に手術
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JAK阻害薬は術前3日前まで継続…以前は7日前だったが、フレアを避けるために短縮
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SLEは安定していれば術前1週間前から休薬、安定していなければできる限り継続のままで手術
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術後の薬剤再開…創傷が治癒傾向で、縫合糸/ステープルが全て抜去され、著明な腫脹/紅斑/排膿がなく他の感染がなければ、通常術後14日目に投薬再開
薬剤有害事象に関する研究となり、質の高いデータが多いわけではない。このため、休薬に関しての推奨もエキスパートオピニオンが中心となっているので、絶対的なものではないことに留意が必要。
①csDMARDs
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csDMARDsと術後感染症の関連は、観察研究上はなかった
②生物学的製剤
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アバタセプトを手術2週以内に点滴投与された患者で有害事象発生率高い(統計的有意差なし)(Arthritis Care Res (Hoboken) 2019;71:1224–33.)
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ただし原病コントロール不良の患者の場合、投薬継続も十分選択肢となる
③JAK阻害薬
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以前は術前7日前から休薬だったが、3日前からに短縮
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…JAK阻害薬中断後、急激に活動性が悪化したデータが有ったため(Clin Rheumatol 2020;39:2127-37.)
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④重症SLE
※重症SLE定義:重症臓器症状臓器病変のあるもの…ループス腎炎、中枢神経系ループス、重症溶血性貧血(Hb< 9.9gm/dl)、血小板<50,000、肺胞出血等の血管炎(軽度の皮膚血管炎以外)、心筋炎、ループス肺炎、重症筋炎(CKが高いだけでなく筋力低下を伴う)、ループス腸炎(血管炎)、ループス膵炎、胆嚢炎、ループス肝炎、蛋白漏出性胃腸症、吸収不良症候群、眼窩炎/筋炎、重症角膜炎、後部重症ぶどう膜炎・網膜血管炎、重症強膜炎、視神経炎、前部虚血性視神経症
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重症SLEのフレア・休薬によって引き起こされる臓器障害のリスクについての懸念を反映し、できる限りの継続を推奨
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ただし重症であっても6ヶ月以上安定している・感染症再発/重症化の既往のある患者は休薬を考慮
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ベリムマブは感染症悪化リスクが低いという報告から継続推奨
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リツキシマブは再燃リスク考慮し、投与サイクル終了時に手術するよう推奨となった
⑤非重症SLE
※非重症SLE定義:重症SLEの定義に入らないもの
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以前のガイドラインからの変更なし
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ただし休薬する場合、フレアへの対処として手術後の綿密なフォローアップが必要
⑥ステロイドについて