"New insights into the role of imaging in polymyalgia rheumatica." Rheumatology (Oxford). 2020 Nov 17:keaa646.
PMRに対する画像診断レビュー
リウマチ性多発筋痛症(PMR)は高齢者のリウマチ性疾患として非常にコモンであるが、あくまで「除外診断」である。というのも、特異的な症状・所見・検査があるわけではないからだ。
最近FDG-PET等による診断がPMRの診断のみならず、巨細胞性動脈炎(GCA)の検出にも役立つことが知られている。
①PMRの従来の画像診断
よく用いられるPMRの「分類基準」として2012年EULAR/ACR基準があり、エコー所見が含まれている。
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エコーで所見の多い病変は以下の通り
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以前のまとめ
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股関節…転子部滑液包炎 があるが、転子部滑液包炎がエコーで確認されるのはPMR患者の20%と案外少ない
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パワードップラーに関しては肩病変で7%しか検出されず、あまり役に立たない
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手関節等の末梢関節病変があるとPMRらしさは低くなる
②新しい画像診断
PET-CTとMRIが多いが、どちらも陰性例があるため注意。検出例に関しては研究によってまちまち
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FDG-PET/CT
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取り込み部位で多いのは肩周囲滑液包・大腿骨転子部滑液包である
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PMR患者の50%で、椎体棘突起周囲の高取り込み域あり⇨棘間滑液包炎?
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ただ頚部痛・腰痛・こわばりとの相関はなし
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また、恥骨結合・坐骨結節・胸鎖関節での高取り込みも見られる
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MRI
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骨盤MRI…中殿筋/小殿筋大転子部接合部、大腿直筋、恥骨結合内側内転筋の腱周囲・腱内の増強が一般的
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骨盤MRI造影T1w
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大腿直筋(青矢印)・内転筋(白矢印)
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腸脛靭帯(紫矢印)・大腿直筋(青矢印)・股関節滑膜炎(赤矢印)
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大腿直筋(黄色矢印)・坐骨結節ハムストリング腱(緑矢印)
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またPMRに対してPETを実施すると、「無症候性の血管炎症」を捉えることがある⇨巨細胞性動脈炎(GCA)の合併?
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血管炎として治療すべきか、PMRとして治療すべきかは現状不明
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ただ、大血管病変があってもPMR用量のステロイドでの反応性は良好でフレアリスクも高くない⇨PMRとしての治療で十分?
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Semin Arthritis Rheum. 2019 Feb;48(4):720-727.
③画像による他疾患との鑑別との鑑別
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EoRA(高齢発症関節リウマチ)
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FDG-PET…EORAでは上腕骨頭の周囲に円形・線形の取り込みパターンだが、PMRでは局所的・非線形の取り込みパターン が多い
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A:EoRA・肩関節…線状・円状の取り込み
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B:PMR・肩関節…局所的な取り込み
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C:EoRA・股関節…びまん性・線状の取り込み
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D:PMR・股関節…局所的な取り込み
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Mod Rheumatol. 2015 Jul;25(4):546-51.
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MRI…棘上筋腫脹を伴う重度の回旋腱板障害はPMRに特徴的
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棘上筋腱内の腫脹と高信号(矢印)、滑液包炎
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Mod Rheumatol. 2015 Sep;25(5):761-7.
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手指末梢関節のMRIでは、RAもPMRもほぼ同様の所見?(滑膜炎の程度・屈筋腱鞘炎の程度・関節周囲びらん・骨髄浮腫)
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CPPD(偽痛風)との鑑別
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基本的に関節穿刺による結晶証明で鑑別する
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ただXp・超音波による結晶沈着検出も役立つ
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膝関節:点状高エコー⇨CPPD
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Curr Health Sci J. 2014 Oct-Dec; 40(4): 293–295.
④PMR画像診断のアルゴリズム
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まず症状・検査からPMRを疑う
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簡便な超音波検査をまず実施する
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PMRに特徴的な所見があればPMRとして治療し、不明瞭な場合はさらなる画像診断を追加する
⑤治療後の画像によるフォロー/転機予測
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MRI・PET等によるフォローの研究はあるが、どれもイマイチ⇨現状効果判定としての画像診断の立ち位置は不明瞭
⑥まとめ
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PMRは「除外診断」であり、鑑別に苦慮するケースは多い(特にEoRAとの鑑別)
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その場合役立つのは画像診断で、最近はMRI・FDG-PET/CTが盛ん
⑦感想
PMR診断で画像診断の比重は大きくなってきている印象。提示した診断アルゴリズムは結構いい感じな気がする。
ただ、「PMRではない」と分かる場合は治療して再発する/反応性不十分なことも多いので、個人的には血清抗体陰性RA(seronegative RA)・PMR診断時は「暫定seonegative RA」「暫定PMR」と必ずカルテに書き、治療経過見て暫定を消す習慣としている。
診断に迷う/再考する際の手段としてMRI・PETは所見を押さえていれば役立ちそう。