Kobak S, Bes C. An autumn tale: geriatric rheumatoid arthritis. Ther Adv Musculoskelet Dis. 2018;10(1):3–11.
EoRA:Elderly-Onset Rheumatoid Arthritis のレビュー。
EoRAは65歳以上に発症する関節リウマチとして定義されているが、YoRA(Young-Onset Rheumatoid Arthritis)と比較して
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男女差が少ない
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急激な症状の出現が多い
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大関節頻度が高い
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リウマトイド因子(RF)陽性率が低い
といった特徴がある。
疫学
関節リウマチの有病率は年齢と共に上昇し、高齢者人口のうちの2%がEoRA
日本におけるRA頻度は30代以上で1%程度(http://www.rheuma-net.or.jp/rheuma/rm400/rm400_gainen.html)。EoRA自体は増加傾向。
臨床的特徴
3つの亜型に分けられる。
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古典型(70%)
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RF陽性、関節びらんと一般的なRAと同様の形態
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PMR様
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四肢近位関節主体
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RF陰性
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急性発症で関節びらんはない
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→PMRと鑑別困難なので
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ACPA(抗CCP抗体)陽性、MCP/PIP関節炎→EoRAらしい
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両側肩峰下滑液包炎→pmrらしい といった状況証拠で判断
- 参考:過去記事
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RS3PE様
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突然発症、手関節腱鞘滑膜炎、手関節のpitting-edema、3−18ヶ月以内の自然軽快 といった点でRS3PEに類似
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HLA-B27陽性率が高い
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急性発症
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大関節中心(特に肩)
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逆に小関節(PIP・MCP・足関節)はEoRAのほうが少ない
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(LORA:Late Onset RA=EoRA:65歳以上で発症したRA)
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古典的変形・二次性シェーグレン症候群・肺病変は少ない
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体重減少・筋痛・リンパ節腫長・PMR様症状は多い
EoRAの検査データの特徴は文献によって様々。ただ、多くの研究では
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低Hb
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炎症反応高値(CRP、ESR)というのは共通している。
一方、RF/ACPAに関しては、微妙なところ。
陽性率が低いとする研究が多い(Arch Gerontol Geriatr. 2006 Mar-Apr;42(2):225-31, J Rheumatol. 1983 Jun;10(3):418-24., J Rheumatol. 1991 Sep;18(9):1285-9.)が、YoRAと同様という研究もある(J Rheumatol. 1993 Jan;20(1):45-52.)。
(そういうこともあってか、教科書では「EoRAは抗体陽性率が低い」という記述が多いような気がする)
(感想)
高齢化に伴いやたら外来で目にするEoRA。年末年始で「抗リウマチ薬ガイドブック」を読んで色々思うところがあったので、レビュー読んでみました。
症状・抗体検査結果からPMRに似るものが多く、どれだけ論文・教科書読んでも確たるものはない…。しいてあげればPETーCTではあるが、それに頼るわけにもなかなかいかない。
おさらいとしては
EoRAはYoRA(Young-Onset Rheumatoid Arthritis)と比較して
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男女差が少ない
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急激な症状の出現が多い
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大関節頻度が高い
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リウマトイド因子(RF)陽性率が低い(らしい)
ではあるか。
続きはまたまとめます。