膠原病・リウマチ一人抄読会

膠原病内科の勉強・アウトプットのため、読んだ論文等を投稿していく予定です。間違いがあれば遠慮なくご指摘ください。個別症例相談には応じられませんのでご了承ください。

メトトレキサート結節

Rheumatology (Oxford). 2021;keab613.

症例:44歳女性

20年前に関節リウマチ(RA)と診断、12年前からメトトレキサート(MTX)15mg/週で治療中
2年前から手指・足指の無痛性結節あり

Accelerated methotrexate nodulosis(MTX結節)と臨床診断
→MTX中止・コルヒチン開始で症状改善
 
 

MTX結節レビュー:Pharmacotherapy. 2002;22(9):1157-1162.

  • Accelerated methotrexate nodulosis(MTX結節)は、MTX投与中の患者の約8%に出現する
    • MTX内服後の期間との関係は不明で、長期内服後の報告も短期内服での報告もある
  • 手指結節はMTX結節の他RA(リウマトイド結節)、変形性関節症(OA)でも起こりうる→治療法が異なる鑑別が重要
  • 部位としては手指が多い(64%)
    • その他の部位…肘・膝・足に起こるが、喉頭・肺・アキレス腱・心臓等の報告もある
  • MTX結節とリウマトイド結節は組織学的には類似しているが、MTX結節はリウマトイド結節と比較して小さく、急速に発症する
  • MTX結節はリウマチ性結節とは異なり、RA症状が安定しているときに起こる→RA寛解期に急激に出現する場合はMTX結節らしい
    • ただし完全な鑑別は困難
  • リウマチ性結節ではRAそのものの治療が治療となる
  • MTX結節の場合、MTXを中止することが基本
    • コルヒチン、スルファサラジン、ヒドロキシクロロキンなどで治療したという報告はある
    • MTX中止不要で、追加の抗リウマチ薬を投与することでコントロールすることを主張する報告もある
 

【感想】

  • RA治療中の手指結節はたまに起こり、MTX中止して良くなればMTX結節だろうと思うのだが、正直上記レビューも内容薄く、よくわかっていない病態ではある
    • リウマトイド結節と混同している例も多いように思えるが、鑑別困難なので仕方ないのかもしれない
  • MTX中止で改善するのはいいが、その後MTX再開はかなりためらわれRA治療を難しくしている…