Autoimmun Rev. 2021;20(2):102735.
関節リウマチは滑膜細胞への炎症が主病態であり、関節症状がメインである。
ただ関節外症状も多く、RA患者の17.8〜40.9%に発生するとされる
ただ、その割には過小評価・過小治療されることが多い
→関節外症状に絞ったレビューのうち、皮膚症状の部分まとめ
皮膚症状は最も多い関節外症状で、様々な形態を取る
非特異的病変…関節浮腫、手掌紅斑、びまん性皮膚萎縮、爪変形など
特異的病変…リウマトイド結節、好中球性皮膚症
①-1 リウマトイド結節(Rheumatoid nodules)
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最も多い関節外症状で、自己抗体陽性関節リウマチ(seropositive RA)で多い
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特定遺伝子との関連が知られており、HLA-DR4ハプロタイプ等がリスク
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原因ははっきりしないが、局所的な免疫複合体の沈着+マクロファージ活性化→肉芽腫形成、と考えられている
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外見:皮膚の色そのままで、直径5mm~数cm、痛みはない
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肘頭・前腕・指など機械性の刺激が多い場所に好発する
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鑑別診断…腫瘍状石灰沈着症、線維腫、黄色腫、皮下サルコイドーシス、転移性腫瘍、組織形質症、アミロイドーシス、神経節嚢胞、異物肉芽腫、基底細胞癌、類表皮嚢胞、滑膜嚢胞など
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診断は基本的には臨床所見だが、非典型的な場所にある・RA所見がない場合は生検が重要
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病理:リンパ球・形質細胞・組織球で形成される肉芽腫病変
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治療:基本的には治療不要だが、関節運動阻害している場合は外科的切除を考慮
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RA活動性が落ち着くと改善することが多い
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亜種としてRheumatoid nodulosis、Accelerated rheumatoid nodulosisがある
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Rheumatoid nodulosis: 回帰性リウマチで見られる骨嚢胞性病変
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Accelerated rheumatoid nodulosis: MTX治療中に急激に四肢末端に出現する小結節→MTX中止で改善することが多い
種類
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画像
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特徴
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治療
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リウマトイド結節
Rheumatoid nodule
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・肌色
・直径5mm~数cm
・疼痛なし
・機械性刺激・外傷部位に好発
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治療不要
関節運動阻害している場合は外科的切除を考慮
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Rheumatoid nodulosis
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回帰性リウマチで見られる骨嚢胞性病変
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NSAIDで治療
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Accelerated rheumatoid nodulosis
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MTX治療中に急激に四肢末端に出現する小結節
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MTX中止
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①-2 Felty症候群
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関節炎・白血球減少・脾腫を3徴とするRAの一型
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皮膚症状が多い…リウマトイド結節、色素沈着、下腿膿瘍など
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脛・足関節の潰瘍が特徴的
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悪性黒色腫・血液腫瘍の合併率が高いため注意
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治療:csDMARDsでの治療…SASP、HCQ、MTXなど
①-3リウマチ性血管炎
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様々な症状を起こす
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リウマトイド結節複数、関節びらん、高力価RFの男性が高リスク
症状
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備考
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皮膚潰瘍
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小血管閉塞→表在性潰瘍
中血管閉塞→深部潰瘍
(Am Acad Dermatol. 2005;53(2):191-212.) |
局所的点状出血
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直径2mm以下の紫斑
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触知可能な紫斑
Palpable purpura
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血管が炎症で破綻→直径2mm以上の紫斑
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出血性水疱
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薄い血液で満たされた水疱
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四肢末端の梗塞
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爪周囲の小斑点(Bywaters lesion)
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壊疽
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血流欠如による体組織壊死
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非特異的斑状丘疹状紅斑
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皮膚毛細血管うっ血→皮膚発赤
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網状皮斑
(Livedo reticularis)
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まだら状の紫斑
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持久性隆起性紅斑
(Erythema elevatum diutinum)
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皮膚直上に出現する様々なサイズの隆起
(Rheumatology (Oxford). 2020;keaa177.) |
白色萎縮
(Atrophie blanche)
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過剰な色素沈着と毛細血管拡張によってできる線状の白色萎縮瘢痕
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RA患者の紫斑はステロイドの影響もありかなりの頻度で見かける。それ以外の病変は相当活動性の高いRAでなければお目にはかかれないと思うが、留意しておくに越したことはない。