膠原病・リウマチ一人抄読会

膠原病内科の勉強・アウトプットのため、読んだ論文等を投稿していく予定です。間違いがあれば遠慮なくご指摘ください。個別症例相談には応じられませんのでご了承ください。

痛みの乏しい関節リウマチ(Arthritis Robustus)

関節リウマチ(Rheumatoid Arthritis: RA)は大半で関節痛があるはずだが、まれに関節症状が乏しく「偶発的に」関節リウマチと診断されるケースが有る
そういう関節リウマチは「Arthritis Robustus」と呼ばれる
 ※Robustus:ラテン語で「頑丈な、丈夫な」

【症例】

(Springerplus. 2014;3:606.)
  • 58歳男性が心筋梗塞で入院
  • その際にMCP関節の多発腫脹と手の変形が指摘される
  • しかし患者はADL制限なく、疼痛も圧痛もなかった
  • X線写真上、多発骨びらん指摘あり
  • 検査すると、高度の炎症反応上昇があり、リウマトイド因子(RF)・抗CCP抗体は強陽性であったことから関節リウマチとして治療された
 

【Arthritis Robustus】

  • もともとArthritis Robustusは、1973年に報告された比較的稀なRAサブタイプ(Ann Rheum Dis. 32 (1):91-92 1973)
  • 典型的には肉体労働に従事している男性に好発するとされる
  • 強い炎症性関節炎が四肢に起こるが、症状が殆どないことが多い
  • 上記症例のように気づかないうちに関節破壊が進行し、心血管系リスクの一因になっている場合もある
  • ただ、Arthritis Robustusについて述べた論文は紹介した2つしかないことを考えると、相当稀と思われる