Jawad ASM. Calcinosis cutis universalis in dermatopathic dermatomyositis.
Rheumatology (Oxford). 2020;keaa331.
60代のアフリカ系女性が長時間剤時の臀部の痛みを訴えた。
10年前にヘリオトロープ疹・ゴットロン丘疹を伴う紅皮症を発症したが筋病変はなかったことから皮膚病性皮膚筋炎と診断⇨ステロイド内服後MMF(ミコフェノール酸モフェチル)が導入され現在MMF2g/dayを内服している。
診察すると、殿部の他大腿部・背部等にびまん性の硬結があり、殿部の皮膚の硬化が顕著であった。
胸部/肩関節X線写真でも同様の所見。血清Ca, P, ALP, 25-OH VitD, PTH, 腎機能は正常。
⇨皮膚筋炎によるCalcinosis Cutis Universalis(びまん性皮膚石灰沈着症)
局所へのジルチアゼム投与を実施したが改善乏しく、座るときクッションを使う等で対処している
【石灰沈着症】
皮膚石灰沈着症の機序は正確にはわかっていないが、以下の仮説が提唱されている(Arthritis Rheum. 2005;34(6):805-812.)
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石灰沈着が起こる
石灰沈着症は腫瘍・副甲状腺機能亢進症・慢性副腎不全等でも起こるが、リウマチ性疾患でも起こりうる。
石灰沈着を起こすリウマチ性疾患としては強皮症・多発性筋炎/皮膚筋炎(PM/DM)・SLEが挙げられる。
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強皮症
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指・肘等のカルシウムヒドロキシアパタイト沈着による石灰沈着症は多くに発生する
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全身性強皮症でも多いが限局型では顕著
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特に抗セントロメア抗体陽性患者で多い
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石灰沈着による皮膚潰瘍・皮下結節による痛みを起こす
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多発性筋炎/皮膚筋炎
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若年性皮膚筋炎(JDM)に多い…約40%(J Pediatr. 1983;103(6):882-888.)
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特に抗MJ/NXP-2抗体陽性例で多いとされる(Arthritis Res Ther. 2012;14(2):R97. )
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一方、成人例ではまれ
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皮内/皮下/筋膜/筋肉内への石灰沈着が起こる
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肘、膝、屈筋表面、臀部など微小外傷の起こる部分に後発する
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皮膚潰瘍・二次感染・関節拘縮が合併しうる
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皮膚筋炎による皮膚石灰沈着症は2種類ある
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筋肉内の腫瘍性沈着
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筋膜面内のびまん性沈着
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SLE
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関節周囲の石灰化が多いが、末梢動脈で見られる場合もある
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動脈石灰化によって、若年発症の冠動脈疾患リスクが上がる
治療としては、
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薬剤治療…ワーファリン・コルヒチン・プロベネシド・ビスホスホネートなど
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外科的切除
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表在性病変に対するレーザー治療
等が挙げられるが、いずれも小さなstudyという印象。
(Arthritis Rheum. 2005;34(6):805-812.)
clinical pictureのネタとしては多く投稿があり、画像としての代表例は以下の通り
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67歳女性、Jo-1抗体陽性皮膚筋炎(QJM. 2016;109(11):753.)
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胸部の皮下結節に伴う石灰化
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27歳女性、SSc(QJM. 2020;hcaa017.)
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大腿部殿部の皮下結節
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40歳女性、SLE(Clin Rheumatol. 2006;25(1):70-74.)
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大腿部の石灰化