Semin Arthritis Rheum. 2021;51(2):387-394.
“Tocilizumab in refractory giant cell arteritis. Monotherapy versus combined therapy with conventional immunosuppressive drugs. Observational multicenter study of 134 patients"
巨細胞性動脈炎の治療としてステロイド+メトトレキサートで治療し、難治性ならTocilizumabに切り替えるというのは巨細胞性動脈炎治療でよくある光景だが、その際にMTXは残すかどうか?というのは結構好みが分かれるところと思われる。
→併用しておいたほうが効果が高そう
前置き
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難治性GCAに対してTCZ+MTXの併用療法が、関節リウマチと同様に有益かどうかははっきりしない
→難治性GCA134人のデータをもとに解析
Method
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40のスペインの施設で実施された観察的非盲検研究
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Patient:TCZで治療されている難治性/他の治療に副作用で不耐であったGCA患者141人
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TCZは8mg/kg/4w点滴 or 162mg/w皮下注射で治療
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Exposure:TCZ単剤での治療群82人(TCZmono)
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Comparison:csDMARDsとTCZの併用での治療群52人(TCZcombo)
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うちMTX併用群48人(TCZmtx)
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Outcome
Result
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各群ベースライン
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症状はだいたい類似しており、頭痛・リウマチ性多発筋痛症(PMR)症状が多い
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TCZcombo群では大血管炎頻度が高く、CRPも高め
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TCZ治療前に73.1%(98/134人)がcsDMARDsを併用…大半がMTX(94/98)
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TCZmonoのうち56%(46/82)は難治性、44%(36/82)は以前の治療の有害事象でTCZ開始
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TCZcomboの大半は、難治性のためTCZ開始
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大半がMTX皮下注(日本では未承認)、平均MTX投与量は19±4mg/week
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有効性
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長期寛解に関してはTCZcomboが12月時点で有意に高い
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他に関しては有意差なし
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どちらの群も徐々に全身症状・虚血症状・血液データの改善が得られた
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再発率…2群で差なし(TCZmonoで16.2%、TCZcomboで11.8%)
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その後、安定例ではTCZ投与量減量/TCZ投与間隔延長/TCZ中止によって投与量最適化を行った
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TCZmono24人(29.2 %)、TCZcombo19人(36.5%)でTCZ投与量最適化ができた
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TCZmono12人(14.6 %)、TCZcombo10人(19.2%)でTCZ中止可能となった
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その際の再発率も同様
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安全性・ステロイドの減量効果に関しては2群で有意差なし
Discussion
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併用例は、罹病期間が長い・重症・頭蓋外の大血管炎・炎症反応高値があった→非併用例と比較して重症なのに長期寛解が得られている→併用療法の効果が過小評価されているかも
感想
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こういう元々ある薬剤のRCTなんて組まれる機会がほぼないので、こういうトライアルは一つの指標にはなる
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ただ、所詮はデータベース上の研究であり、データ見る限り併用しなくてもそんなに変わらない気もするが、安全性がそんなに変わらないということが個人的には重要な点に感じる