Giant-cell arteritis associated with myelodysplastic syndrome: French multicenter case control study and literature review. Autoimmun Rev. 2020;19(2):102446.
現在それっぽい人がいるのでまとめ
①前置き
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骨髄異形成症候群(MDS)やMDS/骨髄増殖性腫瘍(MDS/MPN)は、無効造血・急性骨髄性白血病への急性転化を特徴とする造血悪性腫瘍である
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MDS/骨髄増殖性腫瘍(MDS/MPN)の代表格…慢性骨髄単球性白血病(CMML)など
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MDS・MDS/MPNは”Leukocytoclastic vasculitis”・PANを起こすことが知られている
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その他の血管炎は報告レベル…ベーチェット(Trisomy 8 syndrome)、PMR、Sweetなど
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巨細胞性動脈炎(GCA)は高齢者に多い血管炎で、MDS・MDS / MPNに時々合併する
②患者背景
③治療効果
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全例でPSL(約1mg/kg)が第一選択治療
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2群間で全生存期間に有意差はなかったが、合併例で無再発生存期間・ステロイドフリーでの生存期間は有意に低い
④まとめ
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MDSは患者の7.5-25%に炎症性疾患と関連があるとされているが、GCAとの合併例は症例報告レベル
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関連性も不明
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好発年齢(高齢)がかぶっているため、GCA・MDSを別々に発症しているのか、腫瘍性の炎症性病変なのかを区別することは困難
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GCAには頭蓋病変が起こる側頭動脈炎タイプ「頭蓋型」と、発熱・体重減少・大血管炎が優位な「全身型」に分かれる
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→GCA+MDS合併症例では「頭蓋型」が少ない
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合併例に対する治療はよくわかっていないが、GCAに対して頻用されるTocilizumab(アクテムラ®)は好中球減少のリスクがある→血液内科的な治療のほうが良さそう?
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現在MDS+自己免疫疾患合併症例に対するAzacitidine(ビダーザ®)の治験が進行中(Leuk Res. 2016;43:13-17. NCT02985190)
⑤補足
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調べてみると合併症例の報告は散見されており、思い思いの治療をしている印象
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MTX+PSL…Clin Rheumatol. 2016;35(3):807-812.
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Azacitidine…Rinsho Ketsueki, 56 (2015), pp. 35-37
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ただ、まとまった報告は特にない
⑥感想
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MDSはそれだけでよくわからない筋骨格症状・関節症状を起こすが、一部自己免疫性疾患を合併する例が見られる
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主にはPANだが、他に有名なものとしてBehçet病(Trisomy 8)がある
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また抗核抗体・ANCA等の自己抗体産生する例もある
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診断は厄介だが、「GCAだけでは説明できない血球減少」がポイントのようである
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GCA自体も「全身型」が多いせいで、不明熱・不明炎症の形を取りそうだが…
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そして治療はさらに厄介で、治療抵抗性の傾向が強いため探り探りになる模様