J Clin Med. 2022;11(7):1997.
巨細胞性動脈炎で緊急性の高い合併症といえば失明であるが、実はその内訳は多々ある。
虚血症状がメインであるため、不可逆的な後遺症を残すことも多々ある。一方で早期治療で改善させることができる。
【ポイント】
-
GCAの眼症状の原因は主には虚血性変化である
-
GCA全身症状が先行して眼症状が出ることが多いが、初期症状が眼症状のみの症例がいる
-
治療の進歩で失明患者は減ったが症状が急激に進むことが多いので、依然失明は存在する
-
診断は眼科検査が最も重要
-
疑ったら早期に高用量ステロイド投与することが、眼症状改善のための唯一の手段だが、不可逆的なことも多い
【GCAの眼症状】
①GCAによる失明
表:GCAの眼科病変の解剖学的分類
②一過性視覚障害
-
黒内障・複視のような一過性視覚障害はよく見られ、永続的な視力低下に先行して起こる→「警告症状」であり、早期診断・早期治療が必要
-
122例のGCA中、20例(16%)で黒内障発作が起こり、20例中16例で視力低下・12例で複視が発生した(Am. J. Ophthalmol. 1958, 45, 617–630.)
-
◎複視
-
持続時間は短く、治療によって消失する
-
基本的には、眼動脈の虚血によって動眼神経・眼筋の障害が起こることで起こる
③時間経過
-
全身症状が出てから平均6週間で眼症状が出る
-
ただし1週間未満で眼症状が出る例、初期症状が眼症状である患者もいる
④永続的な失明の頻度
-
ステロイド使用以前の時代では、症例の40-48%が失明しており、うち半数は両目の失明であった
-
ステロイド使用後の時代では、失明割合は15%まで低下し、近年低下傾向
-
ただ症例の3分の2で両眼が急激に(数時間-数日以内)に症状を起こすことがあるため、依然失明患者はいる
【眼の虚血症状存在下でのGCAの診断】
-
患者疫学…50歳以上の突然の眼虚血症状で考える必要があるが、55歳以下では非常に稀
-
全身症状チェックが必要だが、視覚症状のあるGCA患者の20%で全身症状がないため注意
◎検査
【眼の虚血症状存在下でのGCAの治療】
-
通常のGCA治療が行われる
-
ただし、治療を行っても視力障害の悪化が起こるケースは多々ある