膠原病・リウマチ一人抄読会

膠原病内科の勉強・アウトプットのため、読んだ論文等を投稿していく予定です。間違いがあれば遠慮なくご指摘ください。個別症例相談には応じられませんのでご了承ください。

関節リウマチ患者における抗CCP抗体力価と骨変化

High anti-cyclic citrullinated peptide levels and an algorithm of four variables predict radiographic progression in patients with rheumatoid arthritis: results from a 10-year longitudinal study.
Ann Rheum Dis. 2008 Feb;67(2):212-7. Epub 2007 May 25.

 

 
関節リウマチに特徴的なマーカーとして「抗CCP抗体」(anti-cyclic citrullinated peptide:ACPA)があり、ACPAの高力価は関節破壊リスクが高いと言われる。その根拠となる論文。
 
238人のRA患者を10年間フォローし、骨破壊の有無を画像で評価した。(van der Heijde modified Sharp score
  • van der Heijde modified Sharp score
      • 手:びらん16関節・関節裂隙狭小化 15関節→最大点数280点(びらん160点、関節裂隙狭小化120点)
      • 足:びらん6関節・関節裂隙狭小化 6関節→最大点数168点(びらん120点、関節裂隙狭小化48点)
      • →最大点数448点
ベースラインの血液データとして、血沈(ESR)・ACPA・RFIgA・RFIgMを使用。
ACPAと画像予後の関係を解析。
 
結果:
画像変化の最大の予測因子はACPAであった…OR 4.0; 95% CI 1.6 to 10.0
他の予測因子としては
  • 女性…OR 3.3; 95% CI 1.3 to 7.6
  • ESR高値…OR 3.2; 95% CI 1.2 to 7.6
  • RFIgM陽性…OR 3.1; 95% CI 1.2 to 7.9
ACPA陰性患者と比較して、ACPA低-中力価患者 (OR 2.6; 95% CI 0.9 to 7.2) ・高力価患者(OR 9.9; 95% CI 2.7 to 36.7) は画像変化が多かった。
結論:
ACPA・RFIgM・ESR・女性は画像変化の予測因子である。特にACPA高力価の患者はリスクが高い。
 
  • Figure1:患者フォローアップ方法
      • 当初238人を候補としたが、フォロー終了/フォロー中の画像がないものは除外→125人がX線画像の比較可能な症例であった
  • Table 1:ベースラインデータ
      • 画像変化(骨変化)がある患者で、ない患者と比較して有意な差のある因子は
        • 女性
        • ACPA陽性
        • RF陽性
        • 炎症反応高値…CRP、ESR
        • ACPA力価
  • Table2:画像変化予測因子、多変量解析後
      • 最も画像変化と強い相関を示したのがACPA
  • Figure2:画像変化率の解析
      • 女性・ACPA要請・RF陽性・ESR高値がリスクとなっている
  • Table3:画像変化とACPA力価
      • ACPA高力価ほど画像変化リスクが上昇している
  • Figure3:ACPA値に対する画像変化の度合い
      • ACPA陰性群の50%は画像変化がない一方で、ACPA陽性群はかなりの頻度で画像変化あり
 
RAにおける骨破壊のリスク因子を調べた論文。RA初発患者がいた場合、RF/ACPA高力価・女性・炎症反応高値といったリスクの有無を吟味して、治療の重要性を患者に説明する必要がある。