ANCA関連血管炎マネージメントレビュー

"Management of ANCA Associated Vasculitis" BMJ 368, m421 2020 Mar 18

ANCA関連血管炎(AAV)の治療に関する最新レビュー。

全体は長いので重要部分は先に上げておきます。

 

①AAVの種類と特徴

	全般	PR3-ANCA+	MPO-ANCA+
年齢	45-70歳	45-60歳	60-70歳
性差	なし	男性優位	女性優位
発生率 （10万人あたり）	3.3	0.8-1.3	不明
人種差	白人・アジア人	北ヨーロッパ アメリカ	アジア 南ヨーロッパ
リスク因子	シリカ暴露	黄色ぶどう球菌？	薬剤（ヒドララジンなど）
臨床型	GPA>>MPA	GPA(-90%)	MPA(-100%)
臓器症状	糸球体腎炎 びまん性肺胞出血 多発性単神経炎 皮膚血管炎	耳・鼻・副鼻腔 上気道症状 肺結節・空洞病変	肺線維症 気管支拡張症 重症腎病変
治療反応性	・大半は寛解する ・リツキシマブはシクロホスファミドに対して非劣性 ・2/3は死亡リスク上昇	寛解導入では リツキシマブ＞シクロホスファミド？	寛解導入では リツキシマブ＝シクロホスファミド？

 

 

②AAV治療フローチャート

③AAV治療薬まとめ

治療薬	有害事象	有害事象への対処
ステロイド	感染、骨粗鬆症、糖尿病、高血圧、精神症状、うつ、不安、不眠症など	ST合剤等の予防内服でPCP予防、カルシウム・ビタミンD補充+BP製剤での骨粗鬆症予防、PPI等での消化管症状予防
シクロホスファミド	易感染性・再活性化による感染（HBV・JC virusなど） 血球減少症、低ガンマグロブリン血症、 悪性腫瘍（膀胱癌）、出血性膀胱炎、不妊症、早期閉経、催奇形性	ST合剤等の予防内服でPCP予防、メスナでの出血性膀胱炎のリスク低下、妊孕性に対するカウンセリング
リツキシマブ	易感染性・再活性化による感染（HBV・JC virusなど） 低ガンマグロブリン血症、遅発性好中球減少症	ST合剤等の予防内服でPCP予防、低ガンマグロブリン血症に対するIVIG
メトトレキサート	感染、胃消化管症状（嘔気など）、倦怠感、口腔潰瘍、肝障害、肺炎、血球減少、催奇形性	葉酸補充、減酒、腎機能障害に注意
アザチオプリン	感染、胃消化管症状、膵炎、血球減少、皮疹、肝障害	チオプリンメチルトランスフェラーゼ酵素活性チェック⇨アザチオプリン毒性リスク患者のスクリーニング、妊娠でも安全に使用できると考えられる
ミコフェノール酸 モフェチル	感染、胃消化管症状、血球減少、肝障害、催奇形性	胃消化管への影響が少ない？
治療前スクリーニングと予防	HBV・HCVチェック⇨活動性/潜伏性にしろ専門医に相談 ワクチン接種…インフルエンザ・肺炎球菌・水痘

 

詳細は後日