膠原病・リウマチ一人抄読会

膠原病内科の勉強・アウトプットのため、読んだ論文等を投稿していく予定です。間違いがあれば遠慮なくご指摘ください。個別症例相談には応じられませんのでご了承ください。

乾癬性関節炎におけるRF・抗CCP抗体

乾癬性関節炎(PsA)は通常自己抗体陰性の関節炎ではあるが、たまにRF/ACPA陽性のことがある。
多関節炎+RF( リウマトイド因子)・ACPA(抗CCP抗体)陽性ときたら、普通関節リウマチ(RA)を考える。ただ非典型的だがにRF,ACPA陽性の乾癬性関節炎(PsA)もありうる。

①RFとPsA

 

②ACPAとPsA

Rheumatology (Oxford). 2016;55(10):1791-1795.
  • PsA 患者の約5%がACPA 陽性
  • ACPA陽性は、びらん性疾患、骨粗鬆症、指趾炎(Dactylitis)の発生率が高い。逆に付着部炎は少ない。

 
Rheumatol Int. 2014;34(9):1211-1216.
  • RA以外のACPA陽性疾患は多い。特に陽性率が高いのはSjögren症候群・JIA・SLE
  • PsAの約10%でACPA陽性だった
  • ACPA値も高力価陽性のことがありうる…ACPA陽性SpA患者の76.9%でACPA≧75U/ml
      • A:ACPA抗体価と疾患、B;ACPA≧75U/mlの患者割合
参考:SLE患者でRF/ACPA陽性関節炎→Rheupusと呼ばれる

ctd-gim.hatenablog.com

 

 

③RF/ACPA陽性PsAと乾癬合併RAは区別できるか?

 
現状PsAと乾癬+RAを完全に鑑別することは困難
PsAの分類基準もRAの分類基準も別に絶対的なものではなく、臨床診断が主体と思われる
 
ただRF/ACPA陽性PsAを報告している研究的には
  • RF or ACPA陽性の乾癬患者はPsA発症率が高い(Clin Rheumatol. 2022;41(4):1211-1218.)
  • RF or ACPA陽性PsA患者は、肩・肘・MCP節関節病変が多く、対称性・多発性関節炎が多い(Rheumatology (Oxford). 2016;55(10):1791-1795.)
RF/ACPA陽性PsAはRA様症状が出るようだが、単にRAとRF/ACPA陽性PsAを区別できていないだけとも捉えられる。
 
まとめれば
  • RF/ACPA陽性の乾癬患者は関節炎リスクが高い
  • PsA患者でRF/ACPA陽性の場合、高活動性の関節炎・骨びらん発生率が高い・付着部炎は少ない、といったRA様の症状が出る
という2点を押さえておけば十分だろう。
 
RF/ACPA陽性のPsA患者へのbDMARDs治療でTNF阻害薬failureした場合どうするのか、というのは個人的に気になる。
RA要素(骨びらん・滑膜炎)が強そうならIL-6阻害薬やAbatacept、PsA要素(付着部炎・体軸性病変)が強そうならIL-17阻害薬等になるのだろうか?