乾癬性関節炎(PsA)は通常自己抗体陰性の関節炎ではあるが、たまにRF/ACPA陽性のことがある。
多関節炎+RF( リウマトイド因子)・ACPA(抗CCP抗体)陽性ときたら、普通関節リウマチ(RA)を考える。ただ非典型的だがにRF,ACPA陽性の乾癬性関節炎(PsA)もありうる。
①RFとPsA
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RF陽性の場合、PsA分類基準(CASPAR基準)的には-1点だが、RF陽性PsAもいてよいことになっている
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PsA患者の2-15%でRF陽性とされる(J Appl Lab Med. 2022;7(1):281-293.)
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RF陰性ACPA陽性PsAは非常に少ない(Rheumatology (Oxford). 2009;48(3):315-316.)
②ACPAとPsA
Rheumatology (Oxford). 2016;55(10):1791-1795.
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PsA 患者の約5%がACPA 陽性
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ACPA陽性は、びらん性疾患、骨粗鬆症、指趾炎(Dactylitis)の発生率が高い。逆に付着部炎は少ない。
Rheumatol Int. 2014;34(9):1211-1216.
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RA以外のACPA陽性疾患は多い。特に陽性率が高いのはSjögren症候群・JIA・SLE
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PsAの約10%でACPA陽性だった
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ACPA値も高力価陽性のことがありうる…ACPA陽性SpA患者の76.9%でACPA≧75U/ml
参考:SLE患者でRF/ACPA陽性関節炎→Rheupusと呼ばれる
③RF/ACPA陽性PsAと乾癬合併RAは区別できるか?
現状PsAと乾癬+RAを完全に鑑別することは困難
PsAの分類基準もRAの分類基準も別に絶対的なものではなく、臨床診断が主体と思われる
ただRF/ACPA陽性PsAを報告している研究的には
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RF or ACPA陽性の乾癬患者はPsA発症率が高い(Clin Rheumatol. 2022;41(4):1211-1218.)
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RF or ACPA陽性PsA患者は、肩・肘・MCP節関節病変が多く、対称性・多発性関節炎が多い(Rheumatology (Oxford). 2016;55(10):1791-1795.)
→RF/ACPA陽性PsAはRA様症状が出るようだが、単にRAとRF/ACPA陽性PsAを区別できていないだけとも捉えられる。
まとめれば
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RF/ACPA陽性の乾癬患者は関節炎リスクが高い
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PsA患者でRF/ACPA陽性の場合、高活動性の関節炎・骨びらん発生率が高い・付着部炎は少ない、といったRA様の症状が出る
という2点を押さえておけば十分だろう。
RF/ACPA陽性のPsA患者へのbDMARDs治療でTNF阻害薬failureした場合どうするのか、というのは個人的に気になる。
RA要素(骨びらん・滑膜炎)が強そうならIL-6阻害薬やAbatacept、PsA要素(付着部炎・体軸性病変)が強そうならIL-17阻害薬等になるのだろうか?