膠原病・リウマチ一人抄読会

膠原病内科の勉強・アウトプットのため、読んだ論文等を投稿していく予定です。間違いがあれば遠慮なくご指摘ください。個別症例相談には応じられませんのでご了承ください。

乾癬・炎症性腸疾患・感染ではない 末梢性脊椎関節炎(SpA)の治療について

末梢性脊椎関節炎の診断は結構ややこしいが、治療も関節リウマチとは結構異なる。

診断基準は過去記事参照

 

ctd-gim.hatenablog.com

 治療に関してはまとめると以下の通り

 

1.非薬物治療
  • 運動・理学/作業リハビリ
  • 生活指導
    • PsA(乾癬性関節炎)のある肥満患者は疾患活動性が高い→栄養指導
    • 禁煙
    • 服薬アドヒアランスの徹底
2.薬物治療
初回治療として
  • 軽度ならば、NSAIDs投与
  • 腫脹関節が限局的(3個以下)ならステロイド関節注射
初期治療に反応しない場合
 
関節炎の場合
  • まずcsDMARDsを使用
    • サラゾスルファピリジン
    • メトトレキセート
    • レフルノミド が選択肢
  • csDMARDsに反応しない場合はbDMARDsを使用する
  • TNF阻害薬
    • 前部ぶどう膜炎→インフリキシマブ、アダリムマブ
    • ランダム化比較試験ではアダリムマブ(Arthritis Rheumatol. 2015;67(4):914. )
    • ゴリムマブ
  • TNF阻害薬以外
    • 例として
      • JAK:トファシチニブ(ゼルヤンツ)
      • IL17:セクキヌマブ、イキセキズマブ(トルツ)
      • IL12/23:ウステキヌマブ
腱付着部炎のある場合
  • まずNSAIDs。
  • csDMARDsは無効のため使用しない
  • 腱注射は腱断裂リスクあるため勧められない
  • このため、NSAIDsがダメならTNF阻害薬を使用する
    • アダリムマブ:Arthritis Rheumatol. 2015;67(4):914.
    • エタネルセプト
  • あとはPsAと同様
指趾炎の場合
  • PsA以外では稀
  • このため、PsAでのレビューに限局的だが、TNF阻害薬が有効とされる
  • csDMARDsはエビデンスなし
 
まとめ 
  • 末梢性SpAの治療は関節炎以外(腱付着部炎・指趾炎)ではNSAIDs→bDNARDs
  • bDNARDsの内、頻用されるのはTNF阻害薬
参考:up to date. “Treatment of peripheral spondyloarthritis