膠原病・リウマチ一人抄読会

膠原病内科の勉強・アウトプットのため、読んだ論文等を投稿していく予定です。間違いがあれば遠慮なくご指摘ください。個別症例相談には応じられませんのでご了承ください。

皮膚筋炎特異抗体まとめ

皮膚筋炎特異抗体のまとめ。
 

 

1.抗ARS抗体
よく知られているJo-1抗体を始めとした8種類のARSを抗原とする自己抗体の総称
まとめて:Jo-1、EJ、PL-7、PL-12、KS(ここまでは保険診療で測定可能)+2種類
間質性肺炎がほぼ必発であり、慢性進行性の経過を取ること、発熱・Raynaud現象・mechanic's handが特徴的。
 
2.抗Mi-2抗体
高力価の抗核抗体で、血清CKの高い典型的な皮膚筋炎の臨床像を取ることが多い。悪性腫瘍や間質性肺炎の合併は少なく、治療反応性は高く予後も良い。ただ、ステロイドの減量による再燃が多いので注意。
 
3.抗MDA5抗体:CADMという特殊な形態に特徴的な抗体。
厚生労働省の診断基準
  1. まず皮膚所見
  2. 筋力低下
  3. 筋痛
  4. 筋原性酵素の上昇
  5. 筋電図変化
  6. 骨破壊のない関節痛
  7. 炎症所見
  8. Jo-1等の抗アミノアシルtRNA合成酵素抗体の陽性
  9. 筋生検病理               で1+2~9の内の4項目以上で確定
⇨皮膚所見のみ(※1+6-8)では皮膚筋炎の確定診断はつかない。ただ、臨床的に筋症状を来さないclinically amyopathic DM(CADM)という疾患があり、これは急速進行性間質性肺炎を高率に合併することが知られており、早期診断・治療をしないと致命的な疾患である。高率に抗MDA5抗体が陽性になる。
CADMの皮膚症状は、紫斑や深堀り潰瘍などの血管障害が特徴的で、手関節屈筋側に見られる「逆Gottron徴候」が有意な相関あり、とされている。

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4.抗TIF1抗体
小児DMの約25%、成人DMの約15-25%で陽性となり、DMにおける主要な自己抗体の一つである。
最大の特徴は成人の場合、悪性腫瘍合併が高率に見られることである。筑波大学グループの研究ではTIF1陽性例の40歳以上では72%、60歳以上では85%に悪性腫瘍が合併していた。40歳以上の場合、1-2年以内は悪性腫瘍合併がないか厳重注意する。小児例では特に合併なし。
一報、間質性肺炎は稀。広範囲で激しい皮疹を呈することが多く、急性経過では浮腫性紅斑・水疱・紅皮症を呈することもある。一方慢性経過例もあり。
5.抗NXP-2抗体
小児DMの27-32%で陽性となる。TIF1と並んで小児DMで最も陽性率の高い抗体。皮下石灰沈着が多い。成人では1.6-5.3%で陽性。TIF1よりも低率ではあるが悪性腫瘍の合併との相関あり。
 
(参考:臨床神経 2014;54:1110-12)