膠原病・リウマチ一人抄読会

膠原病内科の勉強・アウトプットのため、読んだ論文等を投稿していく予定です。間違いがあれば遠慮なくご指摘ください。個別症例相談には応じられませんのでご了承ください。

画像問題:手指の痛み

MKSAP正答率70%

Clinician Reviews. 2016 July;26(7):19 より引用
診断は?
 

 

 
A.変形性指関節症
 
過度の使用による変形性関節症が原因で起こる。
罹患指関節のうちで多いのは
・母指CM関節
・PIP関節
DIP関節 が多い。
 
身体所見的には骨の肥大・不整形が主体。いわゆる「関節の腫大」ではなく「骨肥大」のため、触ると硬い。
DIPの肥大は「Heberden結節」、PIP関節の肥大は「Bouchard結節」と表記される。
 

 
診断にはXp、エコー、MRI等が有用だが、一般的なものはXp。
Xpでは一般的な変形性関節症同様に
・関節裂隙の狭小化
・軟骨下骨硬化
・骨棘形 等が所見である。
 

(Nature Reviews Rheumatology volume 14, pages641–656(2018) より)
 
指関節症は「画像的な変形性指関節症」と「症候性変形性指関節症」に分けられる。
「画像的な変形性指関節症」は無症候性のものも合わせたものである。日本の研究では、 Kellgren-Lawrenceスケール2点以上(関節裂隙狭小化が出現)の有病率は 男性で89.9%、女性で92.3%(p = 0.11)と非常にコモンな疾患である。(Mod Rheumatol. 2016 Sep;26(5):767-73.
※参考: Kellgren-Lawrenceスケール(膝関節症)

 
 
鑑別として重要なのは関節リウマチで、中年以上の場合双方を合併することが非常に多い。鑑別点は以下の通り。
 
 
関節リウマチ
変形性関節症
罹患関節
母指MP関節
母指CM関節
PIP関節
DIP関節
Heberden結節
なし
頻発
触診
柔、熱感、腫脹
硬く、骨様
こわばり
休息後(朝など)
あっても労作後(夕方など)
RF
陽性
陰性
抗CCP抗体
陽性
陰性
炎症反応
上昇
正常
(up to date "Diagnosis and differential diagnosis of rheumatoid arthritis" 2019/11/7閲覧より引用)
 
まとめ
・変形性指関節症は非常にコモンな疾患
・RAとの合併も多く、鑑別が重要