膠原病・リウマチ一人抄読会

膠原病内科の勉強・アウトプットのため、読んだ論文等を投稿していく予定です。間違いがあれば遠慮なくご指摘ください。個別症例相談には応じられませんのでご了承ください。

RFの偽陽性

Origin and utility of measurement of rheumatoid factors
(up to date 2019/11/4閲覧)
 
RFについて簡単にまとめ。

 

リウマトイド因子(RF)はIgGのFc部分に対する抗体で、1940年に発見されRAの診断に用いられる。
ただ、RFの起源は完全には判明していないが、炎症に対する以上免疫反応との親和性が高い。このため、感染性心内膜炎等の炎症性疾患での陽性率が高いと思われる。
病態
RF陽性頻度(%)
加齢(>60歳)
5-25
感染
細菌性心内膜炎
25-50
25-75
8
梅毒
-13
20-90
5-58
その他のウイルス感染
15-65
肺疾患
サルコイドーシス
3-33
特発性肺線維症
10-50
珪肺
30-50
30
その他
原発性胆汁性胆管炎(PBC)
45-70
悪性腫瘍
5-25
複数の予防接種後
10-15
 
上記がRFの偽陽性疾患。
 
  • RAのRF陽性率は90%程度とされているが、軽症例も含む研究では陽性率26-60%程度と低く、RFは過大評価されている可能性が高い。
  • 健康な若年者であっても、最大4%で発見される( J Rheumatol. 2002;29(10):2034.)。高齢者は陽性率が高く、3-25%程度とされている(JAMA. 1967;199(7):455.)。
  • RF陽性の健康な人のRA発症率は高い。
  • 献血による後ろ向き研究の結果、RA発症者の約30%が診断前1年以上(中央値4.5年)にRF陽性であった。さらにACPA陽性であるとRA発症率は大幅に上昇する(Arthritis Res Ther. 2011;13(1):R13. Epub 2011 Feb 3. )。ただ、RF陽性患者の殆どが後のRF/SLEにならないのでスクリーニングとしての意味はない。
  • 力価が高ければ高いほどRAの可能性は高くなるが、慢性炎症性疾患を保つ患者の場合は例外。
  • x40のときRA感度28%・特異度87%、>x640のとき感度8%、特異度99%(Arch Intern Med. 1992;152(12):2417. )
  • RF力価は治療によって低下する可能性はあるが、活動性との相関は低い。
 
まとめ
・RFには偽陽性が多く、感染症・悪性腫瘍等の慢性炎症性疾患で陽性となりうる。
・すくなくともスクリーニングで測る意義はない。