膠原病・リウマチ一人抄読会

膠原病内科の勉強・アウトプットのため、読んだ論文等を投稿していく予定です。間違いがあれば遠慮なくご指摘ください。個別症例相談には応じられませんのでご了承ください。

巨細胞性動脈炎の治療失敗予測因子

" Treatment failure in giant cell arteritis"
Ann Rheum Dis. 2021;annrheumdis-2021-220347.
 
巨細胞性動脈炎(Giant cell arteritis: GCA)は糖質コルチコイド(GC、以下ステロイドと表記)単剤治療では再発しやすく、IL-6阻害薬Tocilizumab(TCZ)を併用することによって再発リスク・GC累積投与量を減らすことができる。ただ、TCZ併用しても再発するリスクは25-30%程度ある(Arthritis Res Ther 2021;23:8.)
ステロイド+TCZ併用療法、ステロイド単独療法を行っているGCA患者における治療失敗予測因子はなにか?
 
結論:ステロイド単剤治療はTCZ併用と比較して再発しやすい。ステロイド単剤治療の場合、女性は男性よりも再発しやすい。
 
  • 方法:
  • 結果:
  • Discussion
  • 結論
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関節内治療(関節注射)についてのEULAR推奨

EULAR recommendations for intra-articular therapies. 
Ann Rheum Dis. 2021;annrheumdis-2021-220266.
 
関節症患者への関節注射に対するEULARからの推奨まとめ。
関節注射に関してはまとまったエビデンスは少なく、過去レビュー・専門家意見から推奨度を作成した
 
包括原則
合意率(%)
1.関節注射は関節疾患の管理に推奨され、広く使われている
98
2.関節注射の目的は患者を中心としたアウトカムを改善することである
100
3.効果的なコミュニケーション・患者の期待・処置が行われる環境などは重要であり、関節注射の効果に影響する
93
4.関節注射は、完全に個別化された情報と共有された意思決定プロセスの枠内で提供されるべきである
97
5.様々な医療専門家がこれらの関節注射手順を日常的に行っている
94
推奨
合意率(%)
推奨度
1.患者は関節注射の主義内容・注射内容・潜在的なリスク/ベネフィットについて十分に説明される必要があり、インフォームドコンセントを得て地域のルールにしたがって文書化する必要がある
99
4
D
2.関節注射を行う場所は以下が望ましい
  1. プロフェッショナルで、清潔・静かな・明るい個室
  2. 患者が適切な体位を取りやすい部屋(理想的にはカウチや診察台があり、横になりやすい部屋)
  3. 無菌処置が可能な機器がある
  4. 他の医療従事者の助けが借りられる
  5. 近くに蘇生用の器具がある
 
85
4
D
3.関節注射の精度は、関節・投与経路・医療専門家の専門知識に依存する。可能であれば超音波等の画像補助を用いると精度が向上する
93
1B-2A
B
4.妊娠中に関節に注射する際には、関節注射の成分が母体と胎児にとって安全かどうかを考慮する必要がある
98
4
D
5.関節注射を行うときは、常に無菌的な手法を取る
98
3
C
6.患者には局所麻酔を勧め、その利点と欠点を説明すべきである
75
3-4
D
7.糖尿病患者(特にコントロール不良)な患者には、糖質コルチコイド注射後の一過性血糖値上昇のリスクについて説明し、特に初日から3日目までは血糖値をモニターする必要があることを説明すべきである
97
1B
A
8.関節注射は、出血のリスクが高くない限り血液凝固・出血性障害・抗血栓薬内服中の患者に禁忌ではない
89
3
C
9.関節注射は人工関節置換術の術前3ヵ月前までは実施することができ、人工関節置換術後にも外科チームと相談の上、実施することができる
88
3
C
10.関節注射を再実施するかどうかは、前回投与時の効果・個別の要因(他の治療選択肢・使用薬剤・全身治療・併存疾患など)を考慮して決定すべきである
93
2
B
11.関節注射後24時間は駐車した関節の酷使を避けるべき。ただ関節固定は推奨されない。
 
94
1B
A
 
  • 推奨
  • 疾患別関節注射へのEULAR推奨
  • 感想

 

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巨細胞性動脈炎と大動脈炎:レビュー

巨細胞性動脈炎(Giant cell arteritis: GCA)は動脈瘤、破裂、大動脈解離などの重篤な大動脈合併症を合併する場合がある。
 
GCAの発症初期に起こる場合もあれば、数年の経過後の動脈瘤という形もある
大動脈炎の有病率は過小評価されており、致死的な合併症を起こしうる。
 
  • ①Intro
  • ②組織学
  • ③原因
  • ④大動脈炎とその合併症の頻度
  • ⑤ 巨細胞性動脈炎の大動脈:臨床的側面
  • ⑥大動脈病変の予後
  • ⑦画像検査
    • 動脈造影
    • 超音波ドップラー検査
    • 血管造影CT
    • PET-CT
    • 造影MRI
  • GCAでの大動脈病変のスクリーニング
  • ⑨大血管病変の治療
    • 薬物治療
    • モニタリング
    • 外科的治療
  • ⑩まとめ
  • ⑪感想

 

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巨細胞性動脈炎の80歳以上の患者へのTocilizumabの有効性・安全性

Assessment of the efficacy and safety of tocilizumab in patients over 80 years old with giant cell arteritisArthritis Res Ther. 2021;23(1):143.

 
巨細胞性動脈炎(Giant Cell Arteritis: GCA)へのTocilizumab(TCZ)の有効性についてはGiACTA trial(N Engl J Med. 2017;377(4):317-328.)で実証されているが、平均年齢60代後半(69.5±8.5歳)が対象となっており高齢者への有効性・安全性はよくわかっていない
→高齢GCA患者の後ろ向き解析
 
結論
  • TCZ導入によるステロイド漸減は期待できそう
  • 1/3に軽度-中等度の有害事象あり
  • “Assessment of the efficacy and safety of tocilizumab in patients over 80 years old with giant cell arteritis” Arthritis Res Ther. 2021;23(1):143.
  • 結果
    • 有効性
    • 安全性
  • Discussion
  • 感想

 

ループス腎炎の寛解達成後の免疫抑制療法中止

Immunosuppressive therapy withdrawal after remission achievement in patients with lupus nephritis. Rheumatology (Oxford). 2021;keab373.
 
ループス腎炎患者に対して、寛解後にどのように免疫抑制剤を中止するかは議論が分かれる
寛解期のループス腎炎患者における免疫抑制療法中止後の症状再発(フレア)の発生率・予測因子を評価した。
 
Key point
 
  • Method
  • 結果
  • 考察
  • 結論
  • 感想

 

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乾癬性関節炎生物学的製剤薬価早見表2021年度版

先日作った 生物学的製剤薬価の乾癬性関節炎(PsA)版。
薬価は今日の治療薬2021参照
 
 
  • ①TNF阻害薬
  • ②IL-17阻害薬・PDE4阻害薬
  • ③IL-23阻害薬
  • ④画像版
  • ⑤薬価情報・シミュレーターサイト
  • ⑥感想

 

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