巨細胞性動脈炎の診断における側頭動脈生検の感度:メタアナリシス(Sensitivity of temporal artery biopsy in the diagnosis of giant cell arteritis: a systematic literature review and meta-analysis.)
Rheumatology (Oxford). 2019 Sep 14. pii: kez385.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31529073?dopt=Abstract
1993-2017年発表の32の論文における3092人を対象にしたメタアナリシス。
・巨細胞性動脈炎(GCA)での側頭動脈生検の感度は約77%。
・側頭動脈生検の感度は画像検査に対して非劣勢。
・側頭動脈生検の陽性率は研究している年代によって異なり、陽性率は低下傾向。恐らくは臨床症状によって判断している例が多い?
up to date的には診断の流れとしては
1.50歳以上で以下の症状があるときにまず疑う(画像で示すACR criteriaとほぼ同一)
・新規発症の頭痛
・突然発症の視野障害(特に片側性)
・顎跛行
・説明できない発熱、貧血など
・炎症反応高値(CRP/ESR)
※ACR criteria
2.巨細胞性動脈炎が疑われる患者には側頭動脈生検or側頭動脈エコーを実施。
3.陰性でも疑わしいなら大動脈・病変と思われる動脈の画像評価
であるが、ACR基準が1点以下のものは生検対象にしても陽性になることはほぼないようである。(Ann Vasc Surg. 2012 Jul;26(5):649-54. , Clin Exp Rheumatol. 2015 Mar-Apr;33(2 Suppl 89):S-84-9. …側頭動脈生検とACRクライテリアの点数の相関を見た論文)
本論文等で紹介されている通り、エコーも生検もそんなに診断感度は変わらない。事実生検よりもエコーを推奨している論文もあるが(QJM. 2007;100(12):785. )、エコー検査の有りがちな問題として検査側の技術の問題はある。(血管壁が、浮腫によって低エコー・無ドップラーになる「Halo sign」:
https://radiopaedia.org/articles/giant-cell-arteritis)
アメリカのプライマリケアではGCAを疑ったら近隣のfast-track clinicでエコーを受け、問題あれば専門病院に紹介という流れで失明患者の減少・費用対効果の改善を得ているらしい(Rheumatology (Oxford). 2018 Feb 1;57(suppl_2):ii22-ii31. )。それを踏まえて考えると、エコーでまずスクリーニングして生検は実施考慮(現実問題はする方向だろうが)が現実的だろう。
また、「臨床的に側頭動脈炎疑い」という症例に対して生検しても、感度は30%台と比較的低く(Health TechnoIAssess2016;20:1-238.)、注意が必要。
別の研究で生検陰性の症例は
・ESRが正常または軽度高値程度(40 mm /時間未満)
・顎跛行がない
・側頭動脈圧痛がない
・滑膜炎がある という特徴があった。(J Rheumatol. 1995;22(1):93.
)
まとめ
・GCAはACR criteria等を使って疑う
・疑ったらまずエコーはして、側頭動脈生検(も考慮?)
・側頭動脈生検の感度は77%。臨床での疑い症例というだけでは感度は30%台と低い。