膠原病・リウマチ一人抄読会

膠原病内科の勉強・アウトプットのため、読んだ論文等を投稿していく予定です。間違いがあれば遠慮なくご指摘ください。個別症例相談には応じられませんのでご了承ください。

リウマチと環境因子、特に喫煙

How to investigate: Pre-clinical rheumatoid arthritis
Best Pract Res Clin Rheumatol. 2019 Oct 15:101438
を読んでいて、「RAと環境因子」についての表が素晴らしかったので紹介。
 

 

本論文では“関節リウマチの「pre-clinical」(関節リウマチとまだ言えないが将来的になり得る)な時期”について論じているが、その中で
preclinical RAと関連のある因子として
  • 遺伝子
  • 環境因子
  • 微生物(歯周病菌など)
について論じている。
そのうち環境因子については以下の図で纏まっている。(詳細読むと正直微妙なものもあるので参考までに)

リウマチ発症予防因子として
が取り上げられている。
 
 特に喫煙との相関は有名で、COPDとの相関もよく言われている。RA患者はCOPDリスクが高いという報告が報告されており(コホート研究:Arthritis Care Res (Hoboken). 2019 May;71(5):602-610.)、死亡率も高いという報告あり(European Respiratory Society Congress; Milan; Sept 9–13, 2017. Abstr 1786.)。
その相関の原因としては、
  • COPD患者は血清中に自己抗体に対する自己抗体頻度が高いということ
  • RA患者は肺間質・気道の異常免疫応答が多いこと
が仮説として報告されている。(Respir Res. 2019; 20: 144.)
 ただ、RAもCOPDも喫煙がリスクとなり、単なる交絡因子では無いかと言われている。いずれにしろ、RA+COPDはRA単独と比較して予後が悪く、死亡の原因となりうる。
 31,333人のRA患者を対象とした大規模コホート研究(Respir Med. 2018 Jul;140:101-107.)では死亡リスクがCOPD合併症例の死亡率がRA単独よりも優位に高く、診断6ヶ月以内のリスクはさらに高かった。
 
まとめ
・RAそのものの病状・生命予後両方の意味で禁煙は非常に重要。