G-CSF血管炎
G-CSF(顆粒球コロニー刺激因子)製剤による血管炎は、主に大動脈や主要分枝動脈など大型血管に炎症を引き起こす薬剤性の副作用です。2018年から添付文書に重大な副作用として記載され、特に化学療法中の悪性腫瘍患者での報告が多い。
G-CSF投与→血管壁のIL-6,IL-17などが上昇→血管炎という機序が考えられている
なぜか日本人女性で報告が多く、化学療法中の患者の不明熱の鑑別として重要。
◎疫学
- 2004年にフランスで報告されているのは最初(Rev Med Interne. 2004;25(3):225-229.)
- 長時間作動型G-CSF pegfilgrastim(ジーラスタ®)の報告が非常に多い…約0.3%
G-CSF血管炎のリスク因子
- アジア人、特に日本人
- 女性(80%以上)(Intern Med. 2020;59(12):1559-1563.)
- 長時間作動型G-CSF pegfilgrastim(ジーラスタ®)の使用
- 背景疾患:乳癌・婦人科癌(化学療法との併用例が多いため)
◎症状
- 基本的には大血管炎・巨細胞性動脈炎(LV-GCA)と同様→非特異的全身症状が多数
- 発熱(症例の88%)
- 頚部痛(症例の50%)
- 胸痛(症例の42%)
- 側頭動脈炎症状を起こした症例報告もある( Intern Med. 2016;55(16):2291-2294.)
- →G-CSF(特にジーラスタ)投与から1週間以内の原因不明の発熱では、大血管炎可能性を考慮して造影CTを検討してもいいかもしれない
- 発症時期…血管炎はG-CSF製剤の最終投与後平均5日(範囲:1~8日)で発症することが多いが、G-CSF投与後6か月で血管炎を発症したという報告もある(Clin Rheumatol. 2016;35(6):1655-1657. )
- 好発部位:大動脈弓・胸部大動脈(70%)、頸動脈・鎖骨下動脈(30%)
◎検査
基本的には通常の大血管炎と同様に、採血・画像検査→除外診断
- 採血…白血球増多・CRP上昇
- 画像所見…造影CTでの血管周囲壁肥厚、造影効果増強
- 71%の症例が胸部大動脈および大動脈上部の血管に炎症を示すが、21%は炎症が頸動脈領域に限局している
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- https://casereports.bmj.com/content/14/6/e243757
◎治療
- まずG−CSF中止を行い、中等症以上ではステロイドを使用する…未治療による炎症遷延、大動脈解離などのイベントの予防が必要
- 基本的にはステロイド単剤治療が多いが、自然軽快する例も多い
- PSL1mgh/kg/d程度の高用量で開始→急速漸減、2ヶ月程度で治療終了可能とされる
- PSL0.5mg/kg/dで治療導入して効果不十分だった症例あり注意(JCO Oncol Pract. 2021;17(1):57-58.)
- →対症療法的に高用量ステロイドを実施し、短期漸減終了というのが現実的
- 治療後早期で改善することが大半だが、難治例・再発例の報告もある
- 難治例ではPSL以外の薬剤(Tocilizumabなど)を使用する場合もある
- 再発例も多いため、発症後は短時間作動型G-CSFを優先的に使用、長期フォローを行う必要がある