Semin Arthritis Rheum. 2019;49(3):366-372.
関節リウマチ(RA)に対してのbDMARDsの一種であるAbatacept(ABT)はASSURE trial(COPD合併RAへの臨床試験)でCOPD増悪リスクが高かったことから、ラベル警告が出されている。
→実臨床の場でのCOPD合併RA患者において、ABT関連呼吸器系有害事象が増えるかどうかを評価してみた
【Method】
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2007-2015年にbDMARDsを開始したRA患者25万1138人を対象→RA・COPD合併患者9935人を対象とした
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傾向スコアマッチングを行い2群を比較
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ABTでbDMARDsを開始した1807人
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他のbDMARDsを開始した3547人
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アバタセプトの使用者と他のbDMARDsの使用者を、時間条件付きの傾向スコアでマッチさせた
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Coxモデルを用いて、アバタセプトと他のbDMARDsを比較した呼吸器系有害事象の調整済みハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を推定
【結果】
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ABTを投与された1807名の患者・他bDMARDsを投与された3547名の患者を比較
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2群に大きな差なし
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イベントフリー生存のKaplanMeier曲線…ABTと他bDMARDでは差がない
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入院したCOPD増悪/気管支炎、入院した肺炎/インフルエンザに対するABTの他bDMARDsに対するHR:0.87(95%CI:0.68-1.12)
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入院COPD増悪:0.60(95%CI:0.32-1.11)
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気管支炎:0.80(95%CI:0.56-1.14)
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入院肺炎・インフルエンザ:1.39(95%CI:0.91-2.13)
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外来肺炎・インフルエンザ:1.05(95%CI:0.86-1.29)
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→ほぼ差はなかった
【結論】
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RA・COPD患者において、アバタセプトが他のbDMARDsと比較して呼吸器系有害事象のリスクを増加させない
【感想】
Abataceptは感染症リスクの高いRA患者に使うことが多いが、添付文書上はCOPDに慎重投与となっている(https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/3999429G1028_2_09/)。
その根拠となっているASSURE trialはサンプル数の問題が指摘されており、後ろ向きとはいえ大規模解析的には問題なかったということは、COPDに対してAbataceptを少し使いやすくなる情報ではある。