膠原病・リウマチ一人抄読会

膠原病内科の勉強・アウトプットのため、読んだ論文等を投稿していく予定です。間違いがあれば遠慮なくご指摘ください。個別症例相談には応じられませんのでご了承ください。

ANCA関連血管炎管理のための10のヒント

Clin Kidney J. 2024;18(2):sfae389.
 
ヒント1. できるだけ早く診断する
ヒント2. 寛解導入治療には、ステロイドをリツキシマブand/orシクロホスファミドと組み合わせて使用​​する
ヒント3. 重度の腎機能障害やびまん性肺胞出血の患者では血漿交換を考慮する
ヒント4. 低用量ステロイド療法を使用する
ヒント5. アバコパンを早めに使用する
ヒント6. 寛解維持療法にリツキシマブを使用する
ヒント7. 腎機能、タンパク尿、ANCAおよび免疫グロブリン値をフォローする
ヒント8. 予防的抗生物質と予防接種を忘れない
ヒント9. 再発性疾患にはリツキシマブを使用する
ヒント10. 難治性疾患の場合は治療を切り替え、血漿交換を検討する

 

1. できるだけ早く診断する
ANCA関連血管炎(AAV)の症状は多彩で診断困難例も多い→病歴聴取、症状、検査に伴う早期診断が重要
  • 病歴聴取・症状…低酸素血症、急速進行性糸球体腎炎が典型的。
  • 検査…MPO/PR3-ANCAの測定が重要だが、陽性だからといってAAVと診断できない点には注意
    • 腎生検も重要だが、生検のために治療を遅らせてはならない。腎生検は確定診断に有用だが、典型例では必須でない。ただし、腎予後の予測には有用
 
2. 寛解導入治療には、ステロイドをリツキシマブ(RTX)and/orシクロホスファミド(CyC)と組み合わせて使用​​する
  • ステロイドパルス→経口ステロイド急速漸減+RTXCyCが標準治療
  • RTXとCYCの効果はほぼ同等とされ、並列表記
    • RTX用法…毎週375 mg/m2/w x4回 or 1g/2w x2回(2つのレジメンの効果は同等)
    • IVCY用法…0、2、4、7、10、13週(必要に応じて16、19、21、24週)の間隔で15mg/kgの投与
 
※CyC用量
投与方法 用量 減量
静脈内 0、2、4、7、10、13週目に15 mg/kg(必要に応じて16、19、21、24週目) eGFR <30 mL/分/1.73 m2…2.5 mg/kg
60~69歳…12.5 mg/kg
70歳以上…10 mg/kg
内服 2 mg/kg/日を3~6か月間 eGFR <30 mL/分/1.73 m2…0.5 mg/kg
60~69歳…1.5mg/kg
70歳以上…1mg/kg
  • RTX+CyCの併用療法について臨床研究があり、今後に期待
    • レジメン…RTX1g/2w x2回 + IVCY15mg/kg/2w x2回
 
3. 重度の腎機能障害やびまん性肺胞出血の患者では血漿交換を考慮する
  • PEXIVAS studyでは3年の経過中、血漿交換の有無で死亡・ESKD複合発生率に減少は見られなかった
  • ただしメタアナリシス・事後解析では1年後のESKDリスクが減るという報告もある
  • →血清Cre300μmol/L(約3.39mg/dL)では血漿交換を考慮する?
  • 少なくとも劇的に効くものはないので、実施するかどうかはShared-decision-makingが必須
 
4. 低用量ステロイド療法を使用する
  • LoVAS・PEXIVAS studyで示されたように低用量ステロイドでの治療の良好な長期予後が報告されている
  • 重症例ではステロイドパルス→PEXIVAS studyによるPSL急速漸減が推奨される
※PEXIVAS レジメン、LoVASレジメン

※重症腎障害例へのステロイド漸減による腎死リスク増大の懸念もあり注意が必要だが…
 
5.Avacopanを早期に使用する
  • Avacopanは経口C5a受容体阻害剤でステロイドの代替薬として使用可能
  • ADVOCATE study…PSL群と比較して52週時点の寛解維持で優れていた
  • 重症腎障害例、酸素化不良肺胞出血などでの有効性報告も出てきている
 
※日本の保険診療的では、初期治療目的の入院中に高価なAvacopanを使用するのは相当に困難だろう
 
6.寛解維持療法にリツキシマブを使用する
  • リツキシマブ(RTX)を6ヶ月おき投与によってアザチオプリン等の他薬剤と比較して再発が少なくなる
  • RTX中止後、再発率は高くなる→RTX再投与の決定において、ANCA・末梢血B細胞数を見て行うか、再発時にRTX再開すべきか、という点については議論続いている
  • アザチオプリンでの維持の場合、2-4年の継続が推奨されている
  • 低用量ステロイド継続意義については不明だが、おそらく意味はある→再発リスクと副作用リスクを天秤にかけて使用する必要がある
  • すでに慢性透析を受けている患者の場合、維持期の治療を中止できる患者もいる。ただし腎外病変再発リスクはあるので注意が必要

 
7. 腎機能、タンパク尿、ANCAおよび免疫グロブリン値をフォローする
  • 治療・フォロー中は定期的に腎機能、タンパク尿、ANCAをフォロー。RTX投与中は免疫グロブリン値もフォロー
  • CKD患者に場合腎保護薬も考慮…RAS阻害薬、SGLT2阻害薬、MRAなど
◎ANCA力価モニターについて
  • RTX治療後のANCA陰性継続は寛解期間が長い
  • ANCA陰性患者の場合、維持療法を行わなくても再発リスクは低い
  • ANCA力価上昇は、臨床的再発の6-12ヶ月後に見られることが多い
 
8. 予防的抗生物質と予防接種を忘れない
  • AAV患者は感染症リスクが高い
    • 感染症リスク因子…ステロイド・CyCの累積暴露、高齢、併存疾患、肺疾患、腎機能障害など
  • 重篤感染症の大半は診断から6ヶ月以内に発生し、上気道感染が多い
  • ニューモシスチス感染が多い→ST合剤による感染予防が重要
  • RTXはワクチン反応を阻害する→可能であればワクチン接種スケジュールの調整が必要
※とはいえ、RTX寛解導入時期は予防接種などしているヒマがないので、RTX投与後にワクチン接種せざるを得ない、というのが現状
 
9. 再発性疾患にはリツキシマブを使用する
  • 再発患者におけるRTXの効果有用性が証明されている
  • 再発リスク因子…PR3-ANCA陽性、耳鼻咽喉科症状、ANCA力価再上昇、RTX治療後1年以内の血中B細胞の検出、ベースラインでのクレアチニン値の低下、心血管疾患など
 
10. 難治性疾患の場合は治療を切り替え、血漿交換を検討する
  • 難治性疾患の定義…標準治療の実施にもかかわらず進行する疾患、6ヶ月以内に寛解が得られない疾患、維持療法中に再発する疾患
  • 難治性疾患に対しては、ステロイド増量+血漿交換が推奨される
    • その他RTXとCyCの切り替え、IVIG併用などが推奨される
  • 可能であれば難治性疾患の診断において生検考慮、腎機能悪化進行の場合血漿交換・CyC・RTXの併用を考慮する。Avacopanについての役割は不明