膠原病・リウマチ一人抄読会

膠原病内科の勉強・アウトプットのため、読んだ論文等を投稿していく予定です。間違いがあれば遠慮なくご指摘ください。個別症例相談には応じられませんのでご了承ください。

リウマチ性多発筋痛症への高用量メトトレキサート併用

Bolhuis TE, Kooijman NESEP, Marsman DE, Snijders GF, den Broeder AA, den Broeder N, van der Maas A. Results of a 1-year randomised double-blind placebo-controlled trial with methotrexate 25 mg/week in recently diagnosed polymyalgia rheumatica. Ann Rheum Dis. 2025;84(1):1-10. doi:10.1016/j.ard.2025.11.025

 

1. 研究の背景と目的

  • 課題: PMR治療の主体はステロイドGC)だが、長期間の使用による副作用や減量中の再発が問題
  • 過去の知見: MTXの併用効果を検証した過去のRCTでは、用量が低かった(7.5〜10mg/週)ため結果が一貫しておらず、十分なエビデンスがない
  • 目的: 新規診断PMR患者に対し、RA治療と同様の**高用量MTX(25mg/週)**を早期から併用することで、ステロイドフリー寛解の達成率が向上するかを検証。

2. 試験デザイン

  • 対象: EULAR/ACR基準を満たす新規診断PMR患者(GC投与期間8週間未満)58名(解析対象)。
  • 介入:
    • MTX群: 最初の4週間15mg/週、以降25mg/週へ増量+葉酸 
    • 共通: 全例プレドニゾロン15mg/日から開始し、24週間で中止を目指す急速減量プロトコルを実施 。
      • 期間(週)
        PSL用量(日量)
        第1週〜第4週
        15 mg
        第5週〜第8週
        12.5 mg
        第9週〜第12週
        10 mg
        第13週〜第16週
        7.5 mg
        第17週〜第20週
        5 mg
        第21週〜第24週
        2.5 mg
        第25週以降
        0 mg
        → 「4週ごとに2.5mgずつ」という非常にシンプルかつ機械的な減量
  • 主要評価項目: 52週時点でのGCフリー寛解(PMR活動性スコア<10 かつ GC使用なし)。

3. 主な結果

  • GCフリー寛解率 (52週):
    • MTX群 80% vs プラセボ群 46%
    • MTX群で有意に高く(P=.0042)、リスク差は34%
  • 副次評価項目:
    • MTX群は、GCフリー寛解に至るまでの期間が有意に短縮した
    • 再発率(Relapse)はどちらも高いが、総再発回数はMTX群のほうが少ない
      • 再発率…MTX群: 60% (18/30人)、プラセボ群: 81% (22/28人)
    • 累積GC投与量には有意差がつかず(試験期間が52週と短く、初期投与量が同じであったため?)
  • 安全性: 重篤な有害事象や全体の有害事象数に大きな差はありませんでしたが、肝酵素上昇による用量調整がMTX群で見られた。

4. 結論と臨床的意義

  • 結論: 新規診断PMRに対し、MTX 25mg/週を早期導入することは、1年後のステロイド離脱(GCフリー寛解)の成功率を有意に高める
  • 意義: 従来のガイドラインではMTXは条件付きの推奨でしたが、本研究は「再発リスクの高い症例」だけでなく、早期からの積極的な併用(First-choice GC-sparing agent)を支持する強力なエビデンスとなりうる。
 
MTXの使用方法・用量は日本での臨床においては非現実的。
RAへの使用法と同様に、MTXを初期から高用量15mg/wから開始→25mg/wにする、ということとなっている
日本では基本的には6-8mg/wから開始→最大用量16mg/wとなっており、なかなか難しい
……Caporali R, Cimmino MA, Ferraccioli G, Gerli R, Klersy C, Salvarani C, et al. Prednisone plus methotrexate for polymyalgia rheumatica: a randomized, double-blind, placebo-controlled trial. Ann Intern Med 2004;141(7):493500.
 
  • 低用量MTXの研究では低用量(週10mg)でも長期的(76週)にはステロイドを減らす効果がある
    • →今回の研究ではより高用量(週25mg)を用いてより短期(52週)という点で特徴的。
  • やるかどうかは別だが、RAの治療同様にPMRも初期のステロイド少量投与→MTX導入のみでも治療できるかもしれない、ということは覚えていてもいいかもしれない。
  • 26週(約半年)でPSL中止すると相当頻度(PSL単剤で80%)でという事も覚えておいていいかもしれない。
  • 補足資料のPSL漸減中の再発対応は結構勉強になる。
 
◎初期反応が不十分な場合の対応(レスキュープロトコル
最初の4週間で十分な反応(症状の70%以上の改善およびCRP/血沈の正常化)が得られない場合は、以下を行う。
1. PSLを25mg/日に増量し、2週間継続する。
2. 反応が得られれば、20mg/日に減らして2週間継続する。
3. その後、15mg/日に戻し、上記の標準漸減スケジュールを再開する。
    ◦ ※もし25mg/日でも反応しない場合は、一時的に30mg/日まで増量を検討するが、それでも改善しない場合は代替診断(巨細胞性動脈炎など)を考慮し、試験から除外。
 
◎治療中に 再燃(フレア)が起きた場合の対応
治療中に症状が悪化した場合は、以下を行う。
• 1回目の再燃: PSLを再燃直前の有効だった用量まで戻し、4週間継続します。改善すれば、再び急速漸減プロトコルに従って減量を開始。
• 2回目の再燃: 急速漸減は断念し、各施設で通常行われている**緩徐な漸減(Usual Care)**に切り替え
…例)15mgから開始して56週間(約1年以上)かけて0mgにする
 
◎じゃあどう応用するか?
保険適応的にも初期からMTX併用するのは非現実的。ただPSL内服に伴う有害事象懸念・患者希望あれば早期からMTX併用→PSL急速漸減するといいかもしれない。