膠原病・リウマチ一人抄読会

膠原病内科の勉強・アウトプットのため、読んだ論文等を投稿していく予定です。間違いがあれば遠慮なくご指摘ください。個別症例相談には応じられませんのでご了承ください。

全身性強皮症・皮膚筋炎・ANCA関連血管炎に対してのMMFの使い所

もともとミコフェノール酸モフェチル(MMF, セルセプト®)はループス腎炎・臓器異種食後しか保険適応がなかったが、保険適応が広がっている
  • 全身性強皮症(SSc)に伴う間質性肺疾患(2024年2月-)
  • 皮膚筋炎/多発筋炎(DM/PM)、若年性皮膚筋炎(2024年9月-)
  • ANCA関連血管炎(AAV)(2024年9月-)
  • 難治性ネフローゼ症候群(2025年3月-)

ミコフェノール酸モフェチルの保険適用のお知らせ | 一般社団法人 日本リウマチ学会(JCR)

臓器移植の拒絶反応抑制等に用いるセルセプト、保険診療の中で「難治性のネフローゼ症候群」の治療に用いることも可能に―厚労省 | GemMed | データが拓く新時代医療

①全身性強皮症へのMMF

適応用量…1日2回、12時間毎、1回250-1000mg、最大3000mg/日
保険適応は間質性肺炎だが、皮膚硬化・線維化への効用も示されている
早期のdcSSc、活動性間質性肺炎・皮膚硬化合併症例に関しては考慮してもいいかもしれない
 
◎間質性肺疾患(SSc-ILD)への効果 
  • MMF(最大3g/日)を24ヶ月間投与群vsシクロホスファミド(CYC)12ヶ月投与群の比較
  • 両群とも同様のFVC%改善効果(統計学的有意差なし)…24ヶ月時点でMMF群+3.26%、CYC群-2.18%
  • MMF群では治療継続率が高く(72.5% vs 61.9%)、重篤な血液毒性(白血球減少症30 vs 4例)が少ない
  • MMF平均1,338 mg/日の投→DLCO・mRSS(修正Rodnan皮膚スコア)改善

◎皮膚線維化への影響 
SLS-II studyのサブ解析
  • MMF投与群でmRSSが24ヶ月で-4.9点、CYC群で-5.35点改善→同等の効果?
 
  • MMF1,000 mg/日より開始→ 2,000 mg/日に増量,可能なら 3,000 mg/日に増量を12カ月以上投与
  • mRSS は 22.4→6 カ月後に 13.6,試験終了時に 8.4に低下
  • 疾患初期(発症後12ヶ月以内)に治療を開始した症例で顕著であった
 
日本の全身性強皮症ガイドライン2018でも皮膚硬化・間質性肺炎へのMMF使用考慮は一応記載されている
その他Tocilizumab、Nintedanib等との併用については臨床研究が続いている
 

②皮膚筋炎・多発筋炎へのMMF

適応用量…1日2回、12時間毎、1回250-1000mg、最大3000mg/日(成人例)、重症・難治例にのみ認める
皮膚症状へのエビデンスは比較的多いが、筋炎・間質性肺炎にも使ってみてもいいのかもしれない。ただしデータは極めて限られる。
◎筋症状
難治例で用いられ、海外ではメトトレキサート(MTX) or MMFを併用する報告が多い。ただし皮膚に関しての報告が多く、多発筋炎に使用してよいのか?というのは謎
あっても小規模の報告のみ

難治性筋炎6名へのMMF…PSL減量、CK低下作用あり

 
◎皮膚症状
比較的報告は多い…局所療法・ヒドロキシクロロキン・MTXが無効→MMF or IVIG とすることが多い
 
MDA5抗体陽性間質性肺炎での報告が多いが、症例報告レベルのみ
ステロイド+カルシニューリン阻害剤が基本だが、カルシニューリン阻害薬が使用できない場合の代替薬の1つとしてMMFを考慮してもよい

 
ただし高用量ステロイドMMF併用の場合、感染症リスクに注意は必要…10例に使用、3例で日和見感染
 

③ANCA関連血管炎へのMMF

適応用量…1日2回、12時間毎、1回250-1000mg、最大3000mg/日(成人例)、重症・難治例にのみ認める
RTX、IVCYに次ぐ3rd lineとして一応考慮は可能、腎障害患者には考慮してもいいかもしれない

 
  • 寛解導入に関してはIVCYに非劣性とされるが、維持に関してはアザチオプリンに劣るとされる
  • 腎障害患者に関してのデータが豊富で、腎障害のない患者の試験と比較して持続寛解率が高い
RTX・IVCYが使用できないor無効の場合、腎障害患者の寛解導入の一案として使用してみてもいいかもしれない