RMD Open. 2023;9(2):e003113.
ANCAはANCA関連血管炎(AAV)の診断に重要だが、非常に偽陽性が多い。その時の力価が高いとAAVの可能性が高くなる、という論文。
AAVの診断で最も重要なのは組織診断による小血管炎の証明だが、組織診断が困難なことも多い。そういうときに役に立つのがMPO/PR3-ANCAである。
MPO/PR3-ANCA≧65U/mlかつAAV2022年基準を満たしている場合、AAVの診断可能性が高まる。
表:GPA/MPA2022年分類基準
単施設のANCA陽性患者を後方視点で解析した研究(フランスのニース大学病院)
Patient:MPO-ANCAおよび/またはPR3-ANCAいずれかが陽性の18歳以上の患者のうち何らかの診断がついている患者288人
I/C:3群に分類…AAV患者49人、AAV以外の自己免疫性疾患患者(ANCA-AI)99人、自己免疫性疾患(ANCA-O)のない患者140人
AAVは2022年ACR/EULAR基準で判定している
ANCA力価は、MPO/PR3-ANCA≧20U/mLで陽性と判定
【Result】
AAV患者は、高齢で肺・腎障害といった臓器障害が多く、ANCA力価高値・CRP高値だった
ANCA力価はAAV患者で有意に高く、ANCA-AI・ANCA-Oに統計学的な有意差なし
多変量解析…ANCA力価≧65IU/mlの場合、AAVへの分類に役立つ(陰性適中率98%)
フランスの単施設研究で、日本人とはAAVの頻度・種類が異なるため注意が必要だが、ANCA力価高値はある程度意義あることであることは覚えておいていいと思われる。
臓器病変が乏しいANCA関連血管炎にも適応していいかは謎が残る。