Arthritis Care Res (Hoboken). 2017;69(8):1095-1110.
2017年ガイドライン以来の更新で、アバロパラチド・ロモソズマブに関しての推奨もできた。2017年の内容も含めてまとめ。
患者の骨折リスク層別化→薬物治療→定期的に再評価→治療薬変更という流れができている。近年アバロパラチド(PHTrP、オスタバロ®)・ロモソズマブ(イベニティ®)といった新規薬剤が使用できるようになり、これらの使用後のSequential Therapyに関する推奨が2022年推奨では追加となった。その部分以外はほぼ改訂なし?
【骨折リスク層別化】
①初期評価
ステロイド治療を行う患者全員に対して以下の初期評価を行う
表:GIOP初期評価
また以下の評価を考慮する
骨折リスク評価はFRAX®で評価し、リスク層別化を行うことが望ましい
②骨折リスクの層別化
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例)大腿骨近位部骨折が2.0%の場合、2.4%に増加する
※主要骨粗鬆症性骨折(Major osteoporotic)…大腿骨近位部骨折,上腕骨近位部骨折,橈骨遠位端骨折,椎体骨折
③再評価
ステロイド治療を継続する患者全員に対して、12ヶ月毎に骨折リスク再評価を行う
※超高用量ステロイド…初期PSL用量≧30mg/day、前年PSL累積用量≧5g
【薬剤治療】
①初期治療
※BP:ビスホスホネート
②成人の治療フローチャート
※出産可能性のある女性の場合、経静脈BP・デノスマブは、予定外の妊娠の場合の胎児への有害事象に関するエビデンスの質が非常に低いことについて患者と話し合った後にのみ開始する必要がある
③特殊な患者群への初期治療(ACR2022年で一部追加)
④治療切り替え
⑤Sequential Therapy(ACR2022年で追加)
アバロパラチド(PHTrP、オスタバロ®)・ロモソズマブ(イベニティ®)といった新規薬剤が使用できるようになったが、これらは使用後に他薬剤に切り替えて治療継続する必要がある。
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参考レビュー:Bone. 2020;139:115516.(https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S8756328220302969?via%3Dihub#bb0310)
このSequential Therapy(初期の骨粗鬆症治療が終わったあとに続けて行う別の薬による治療)についての改定が2022年推奨で行われた
◎初期骨粗鬆症治療・ステロイドが中止され、骨折リスク低-中の場合に推奨されるSequential Therapy
◎初期骨粗鬆症治療・ステロイドが中止され、骨折リスク中-高の場合に推奨されるSequential Therapy
現在の治療継続 or 経口/経静脈BP、PTH/PTHrP、SERM、デノスマブへの変更を考慮する
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デノスマブ(DEN)・テリパラチド(PTH)・アバロパラチド(PHTrP)・ロモソズマブを使用する際には、投薬中止後の追加治療が必要なことを患者が理解する必要がある
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デノスマブ投与終了後の場合、ビスホスホネート(BP)1-2年or臨床状況に応じてPTH・PTHrP・ロモソズマブに移行
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PTH・PTHrP・ロモソズマブ投与終了後の場合、BP or デノスマブに移行
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他薬剤への移行無しでデノスマブ投与終了した場合、椎体圧迫骨折・骨量減少を起こす可能性がある→デノスマブ最終投与から6−7ヶ月後にBPでの治療開始が推奨される。投与期間は不明だが、少なくとも1年間は治療することが望ましい
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他薬剤への移行無しでPTH/PTHrPを中止した場合、骨量減少・新規骨折リスクが高い→経口/経静脈BP、デノスマブ、ロモソズマブへの移行が望ましい
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他薬剤への移行無しでロモソズマブを中止した場合、骨量減少リスクが高い→経口/経静脈BP、デノスマブへの移行が望ましい
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骨折のリスクが高い長期間ステロイド投与中の患者には、経口BPを使用が強く推奨される
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中~高度の骨折リスクのあるステロイド投与中の成人患者には、患者・医師間の相談の上、経口/経静脈BP、PTH/PTHrP、デノスマブが望ましい