Rheumatology (Oxford). 2021;keab317.
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関節リウマチ(RA)に対して間質性肺疾患(ILD)が合併することは非常に多く(3-67%)、心血管イベントに次ぐ死因となる
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RA-ILD患者への治療には色々議論があるが、イギリス/スペイン等でのガイドラインではアバタセプト(ABA)・リツキシマブ(RTX)が推奨されている
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ABAは基本はメトトレキサート(MTX)と併用するが、ILD患者にはMTXは使いにくい→実臨床ではRA-ILD患者に対してABA単剤治療となることが多い
→RA-ILDの白人患者対象にABA単剤治療の有効性・安全性をABA+csDMARDs群(ABA併用群)と比較してみた
→アバタセプト単剤も併用もRA-ILDに対しての安全性・有用性は同様の模様で、併用群はステロイド漸減に有用かもしれない
患者/研究デザイン
…ABA投与されている白人RA-ILD患者を対象とした他施設レトロスペクティブ解析
P患者:2010年1月から2019年6月までにABAの投与を1回以上受けたRA-ILD患者263人
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スペインの53病院のリウマチ科から登録
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CTはABA投与1−4週間前に実施し、ILD以外の疾患が除外されたものを対象とし、3群(UIP、NSIP、その他:OP・BO等)に分類
I/C:治療内容によって以下の3群に分類
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ABA単剤療法(ABAMONO群)
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ABAとMTXの併用(ABAMTX群)
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ABAとMTX以外のcsDMARDの併用(ABANON-MTX群)
O:Outcome
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Primary:肺への有効性・安全性
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有効性…Modified Medical Research Council(MMRC)スケールで0-4点評価
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呼吸困難症状、呼吸機能検査、胸部HRCTでの病変評価
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Secondary:ステロイド漸減効果、RAへの有用性
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RA評価にはDAS28-ESRを利用
→各群の特徴・効果に関してそれぞれ評価
結果
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各群ベースライン評価
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一般的特徴・臨床症状・過去治療歴はほぼ3群で同様、ILDパターン等も同様
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ABAMONO群は他群と比較して優位に高齢でPSL投与量が多い
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Outcome
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FVC・DLCO:ほぼ全患者で悪化なし、各群差なし
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DAS28−ESRはどの群でも改善しているが、改善度に関して差はない
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ステロイド漸減効果に関してはABA単剤では有意な減少はないが、ABAcsDMARDs併用群では有意な減少あり
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ただ、多変量解析では3群間に有意差なし
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有害事象・ABA中止
Discussion
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3群(ABAMONO/ABAMTX/ABAnon-MTX)共に、肺への有効性・安全性及びDAS28-ESRの改善を示した
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ただ、ステロイド漸減効果に関してはABA併用群のみで見られ、ABA単剤群では見られなかった
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※多変量分析では3群間に有意差なし
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本研究にRA-LID患者は男性が多く、大半(90%)がRFor抗CCP抗体陽性であった
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またステロイド平均投与量が比較的に少ない→csDMARDs/bDMARDs投与が多かったためと思われる
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ABAMTX群とMTX非併用群で肺への有効性・安全性が同等→MTXは実は肺保護的?という傍証かもしれない
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+ステロイド漸減にもつながる
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ABAの継続率は3群で同等
感想
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そういう患者においてAbatacept+他のcsDMARDs併用でステロイド漸減が期待できる、という根拠にはなる
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また、MTX併用してもそんなに肺が悪くならなかったというのは覚えていてもいいかもしれない